宮と約束 ページ17
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「あの…そろそろ離してもらっても?」
「やだ」
起き上がらせてくれたものの、私を膝の上に乗せてず〜っと抱き締めている。
ずっとここにいるのは暇なのだが。
みんながいる前でもこうされるのはごめん…。
「…一つだけ約束です」
「約束?」
そう言うと顔を上げる婚約者。
「学校では、橘としてではなく
宮として接して下さい」
分かりやすく悲しそうにする婚約者。
「婚約者とバレたら面倒ですし」
「えっ…なんで…」
「だって…苗字が矛盾しますし…さとみさん、残念イケメンという名を馳せてるじゃないですか」
「それはAが可愛いから…」
「そっ、そういうことじゃないんです!」
自然にそういうことを言ってくるので、婚約者には羞恥というものがないのだろう。
「それでも関わるなら…」
「あーっ!!やめます!!」
それでも関わるなら…のあとは言わないつもりでいたが、どうやら効いたらしい。
「約束ですよ」
「…じゃあ、はい」
と小指を出す。
「…指切りですか?」
「そう、小指出して」
言われるがままに小指を出すと、婚約者の小指を絡められる。
そうすると定番の歌を歌い出す。
_________…
「ねえ、ほんとに針千本飲ませる?」
「そうですね…婚約かいしょ」
「嫌だ」
婚約解消ですかね、と言おうとしたが遮られた。
「絶対嫌だから」
念を押すようにそう言われる。
「…はい」
「でもさ、会いたい」
まあ、私がそう言っても折れないのが婚約者である。
うーん…と何かを考え始めた。
「…あっ」
「何か考えましたか?」
うん、と笑いながらその考えを言う。
「図書室ってどう?」
「…えっ」
「俺達が再会したところ!」
「あぁ…え」
それはつまり…あの時の時点で、気づいてた?
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るり(プロフ) - 今日ほんとに見返してたところの更新だったので嬉しかったです泣 この先のお話とかめちゃくちゃ妄想してるので、いつかお話になるの楽しみにしながらこれからも見返そうと思います! (2021年1月14日 0時) (レス) id: 1011553aa4 (このIDを非表示/違反報告)
月雫 runa - 完結おめでとうございます!! 最初から最後まで楽しめました! (2020年3月22日 12時) (レス) id: 7dc9d510f6 (このIDを非表示/違反報告)
おとは(プロフ) - はじめまして!スゴくよかったです(*^_^*) (2020年3月18日 7時) (レス) id: 083a813a8f (このIDを非表示/違反報告)
さくり@歌リス(プロフ) - ヤバい!最高でした(@_@) (2020年3月16日 22時) (レス) id: 0cd51e6ec6 (このIDを非表示/違反報告)
響(おと) - すき。 (2020年3月16日 11時) (レス) id: e976740a08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田鈴 | 作成日時:2020年1月2日 17時