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「きゃっ！」
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急に腕を引っぱられて、
バランスを崩したわたしは
どさっ、と派手に倒れ込んだ。
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「しっ」
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わたしを引っぱった張本人は
倒れ込んだわたしの隣で
しゃがみこんでいた。
驚いて目を見開くわたしに、
すらっとした長い人差し指を
唇に当てて睨む。
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「えっ、せんせ‥」
「静かに」
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わたしを引っぱった犯人、
現片の先生は、
どこか一点を見つめたまま。
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「見えるか、ほら」
「えっ‥？」
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先生がそこから
目を話すことなく、
唇に当てた人差し指を
そのまま目線の方向へ向けた。
先生の指が示す先に
わたしは目を凝らす。
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「あっ‥！」
「さ、復習だ。
あの生物の名称を答えなさい」
「モモイロ、ヒメ、カタギリ‥」
「正解」
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いつもへの字に結んだ口と
目元を緩めるようにして、
先生がふっと笑顔を見せた。
いつも難しい顔をしている
印象のあった先生の笑顔なんて
初めて見た。
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「あれ、理科室に保管してある
カタギリじゃないんだ」
「えっ？ いつもお持ちのじゃ
ないんですか？」
「近所で逃げ出したか、
飼い主が逃がしたんだろうなあ」
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無責任なこった、と
顔をしかめる先生。
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「どうするんですか？ あの子」
「‥まあ、とりあえずは
捕獲して、理科室で飼うかなあ」
「大変ですね‥」
「命ある生き物だからなあ」
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先生がカタギリのお話をするとき、
優しい目をするということに
わたしはふと気付いた。
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「先生は‥」
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青い消しゴム - 私もラーメンズ大好きなんで、この話面白いし、好きです！！無理しない程度に更新頑張ってください~！！ (2017年6月27日 23時) (
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作者名：物書き白うさぎ | 作成日時：2016年9月27日 3時
