検索窓
今日:5 hit、昨日:21 hit、合計:854,400 hit

デジャブ・・・からの4 ページ4

車内で他愛ない話をして数分。Aの家に着いた。
いつもならここでAが降りて別れるのだが、車から降りる気配がない。
むしろ何か悩んでいるような顔をしたので「どうかしましたか?」と声をかけてみた。
安室の声に反応してバッと安室の顔を見る。

「・・・いえ何でもありません」

一瞬だけ眉間に皺を寄せたが、すぐに何でもないようにと苦笑して、車から降りようとした。
いつもと違う様子のAに洞察力が人より優れている安室が気づかないはずもなく、車を降りようとしたAの腕を掴む。

「何があったんですか?」

ここで「何かあったんですか?」と聞いても「何もありません」と帰ってくるのがオチだ。
なので敢えて何かあったことを前提に安室はAに問うたのだ。
何でもいい。また毛利家の家事を頼まれたとか、また沖矢に連れまわされたとか、どんなくだらないことでもいい。Aの表情を曇らす何かがあったことは確実。
もともと人に頼らないAはこちらから尋ねない限りお願いをしてこないことは既に承知済み。
しかも、少し強めに言わないとなかなか頼ってくれないという少しめんどくさい性格の持ち主だ。
なので少し強引になるのは致し方ない。
少し視線を彷徨わせたAがとうとう眉間に皺を寄せて下を向く。
これはAが自分自信と葛藤している時に見せる表情だ。何度もAと関わってきてやっとわかった安室だけが知る彼女の一面。
こうなれば結果は分かったも同然。
彼女は意を決したように一度目を瞑り静かにため息を吐く。
そしてゆっくり顔をあげ、普段とは違いビックリするほど控えめに

「安室さん。この後用がなければお茶でもしていきますか?」

まさかのお誘いだった。
何かの相談をしてくるものだと思っていた安室はビックリして目が点だ。
そんな顔した安室にAが「そんなにビックリすることですか?」と少々不満気だ。
それはそうだろう。まさかあんなに深刻そうな顔をしていたのだから何かあると思わない方がおかしい。そして、まさか安室をお茶に誘うか誘わないかで葛藤していたなんて・・・

「(なんて紛らわしいんだ・・・)」

心配して損した。
返答のない安室に「別に無理しなくていいので」と車から降りようとして再度腕を掴む。

「何ですか」

「せっかくのお誘いですからね。喜んで伺います」

少し不機嫌なAに安室は嬉しそうにクスクスと笑った。

デジャブ・・・からの5→←デジャブ・・・からの3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (614 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1515人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

9Sに殺されたいロリコン - 主ちゃんって…美少女なんですかね? (2019年9月7日 13時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
うさまろ(o^^o)(プロフ) - 続きがとても気になる作品です。更新頑張ってください! (2019年6月9日 11時) (レス) id: 710cd8956c (このIDを非表示/違反報告)
丸井(プロフ) - フラグ…フラグだ!!逃げて主人公ちゃん! (2019年6月6日 22時) (レス) id: 08724b31ed (このIDを非表示/違反報告)
- 梓ちゃん良かったね!続き楽しみにしてます! (2019年6月6日 14時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とっても面白いです★続き楽しみにしてます。お身体に気を付けて更新頑張ってください! (2019年6月1日 4時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫暗 | 作成日時:2019年5月21日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。