ちょっとリアルなトリップモブ3

デジャブ・・・からの1 ページ1

午後までだったポアロの仕事が終わり、深夜のコンビニのバイトまで時間がたっぷりある為、空っぽの冷蔵庫のためにスーパーに寄って帰宅中のA。
家に続く道に差し掛かり、曲がり角を曲がった瞬間《ドン》と勢いよくぶつかった。

――いつだったか、以前にも似たようなことがあった気がする・・・

今回はそんなに買い物をしていなかったため、袋の中身をまき散らすことはなかったが、逆に相手の書類をまき散らせてしまった。

「あっごめんなさい！」

自分の荷物を置いて、相手の書類を集める。
晴れていてよかった。でないと書類が大変なことになっていただろう。
集め終えてぶつかった相手に頭を下げる。

「ぶつかってすみませんでした。大丈夫ですか？」

ここで初めて顔を見たが、イケメンではないけれど、人の好さそうな柔らかい雰囲気の人だった。

「いえ、こちらこそすみません。急いでいたもので・・拾っていただいてありがとうございます。では」

本当に急いでいたのだろう。
彼は丁寧にもう一度謝罪をしてから速足で去っていった。
今回は犯罪者ではなく普通の人の用で少し安心した。
汚れた裾を払い、荷物を持とうとして近くにペンが落ちている事に気づいた。
先程の彼のものだろうか？
コンビニとかで売っている何の変哲もないペンだが、まだ真新しいのか外装が綺麗だった。
芯を出してみるとまだ使えそうで、どこにでもあるペンを警察に届けるのも、このままここに置いておいておくのもなんだかな〜と思い、今度会った時に返すか、会わなければこのまま持っておこうと、カバンの中に入れた。

この時完全に気が緩んでいたのだろう。
ここはコナンの世界。
ちょっとしたことが事件になることを、平和すぎる日常を過ごしすぎて平和ボケしてしまったAがフラグを拾ってしまったことを後々になって思い知ることになる。

「今日も天気いいなぁ」

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