ちょっとリアルなトリップモブ

日常8 ページ48

コンビニの仕事帰り。
今日は午後からポアロなので午前中はゆっくり寝る予定だ。
ゆっくりした足取りで家へと向かう途中。見たことある背中を見つけ立ち止まる。

「・・・風見さん？」

張り込みだろうか？朝早い時間帯。
人通りはほとんどないので、すぐにわかった。
ビシッとしたスーツを着て、明らかに仕事中だ。
邪魔しては悪いと知らないフリをしようと思ったのだが、目の下に出来た濃い隈に疲れ切った顔。
いつから張り込みしているのか知らないが、これではいざと言う時に動けないだろう。
遠目から見ても酷い顔だった。
仕事中だろうと、関わるつもりは無かったのだが一度目にすると気になって仕方がない。
Aは少し考えて「よし！」と答えを出すとコンビニへ引き返した。



「おはようございます。風見さん」

「えっ！？あっAさん！？おっおはようございます。こんな朝早くにどうしたんですか？」

声をかけるまでAの存在に気づかない程集中していたのか、意識が無かったのか定かではないが、話しかけてくる人がいる事に驚いたようだ。
Aが言うのも何だが、それでよく公安が務まるなと言いたい。

「仕事の帰りです。風見さんこそどうしてここに？」

明らかに刑事の仕事なのは分かるが、ダメ元で聞いてみた。

「いえ、ちょっと仕事で・・・」

ーーでしょうね。わかってたよ。
普通そこ濁すよな？よく高木刑事がコナンにペラペラ捜査内容喋ってるけど、普通話さないよな！

「こんな朝早くから大変ですね」と軽く話していると道路の向かいからこちらに向かって男が歩いてきた。
Aは何気なしに見ていたが、会話が途切れたので風見を見ると、視線が鋭くなっていた。
よくわからないが張り込み対象なのだろうと思う。
ただそんな顔していたらバレバレでは？本当に刑事さん？と本格的に心配してしまった。

ーーそれでも公安だよね？エリートなんだよね？

さすがに、これ以上長居をすると彼の仕事の邪魔をしかねないので手にしていた小袋を風見に手渡す。
いきなり渡された袋を何も考えずに受け取ってしまったが、困惑した顔になっており少し笑えた。

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