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炭治郎目線



「ごゆっくりどうぞ」

受け取ったソーダを片手に、
Aの座っている席に向かう。


今日のAは一段と可愛らしい。
いつもより濃く潤った唇に思わず噛みつきたくなってしまう。
少し背伸びしたヒールに慣れていないせいだろうか、
歩いている途中でよろけそうでなんだか危なっかしいな。
そういうところも全部、愛おしくて仕方がない。





それにしても、
さっきからAに視線を向ける奴らが気になるな。
通るたびに他の男がAの方に
目線をずらしているところを見るとイライラしてくる。
本人は気付いてないと思うが…


炭「お待たせ」


魚を追いかけていた目は俺に向けられ、
『ありがとう』と微笑む彼女に胸の奥が熱くなる。

俺は彼女の向かい側の席に座って、
隣にある景色よりも彼女を見ていた。

小さな口を少し開けてストローを加える姿も、
まばたきをするたびに揺れるまつ毛も、
髪が邪魔にならないように片耳にかける動作も全部…




他の奴らに見られたくない。


さりげなく、
少し離れた席にいるアイツらに視線を向けると、
やっぱりだ…さっきからずっとAのことを見ていたらしい。
俺が睨みつけるとまずいと言わんばかりに焦りだして視線をうろちょろさせている。


『…た、炭治郎君?』


俺を見つめる大きな瞳と目が合う。
俺はハッとして、すぐに笑顔を見せたが彼女はまだどこか不安げな顔のままだ。



炭「魚、可愛いな」

嘘だ…魚なんてこれっぽっちも見ていない。
俺が可愛いと思うのはいつだって君一人だけだ。


『…そうだね。とっても』


カラン…とグラスの中の氷をストローでかき混ぜた後、
隣の青い景色に目を移す姿に俺は釘付けになっていた。



夕方、
俺たちは帰りの電車に乗って、流れていく景色をただひたすら眺めていた。

ずっと歩いていたから疲れてしまったのか、
Aはゆっくりとまばたきをして今にも眠ってしまいそうだ。

炭「…A。眠かったら、俺に寄りかかっていいんだぞ?」

俺はわざと、彼女の耳元で息を吹きかけるようにつぶやく。
A一瞬、ビクッと反応する姿に思わず
口が緩みそうになってしまうがぐっとこらえる。

『だ、大丈夫…。それにもう少しでつくし…』

炭「…」

そう答えながらも彼女の目はうとうとしていた。



___もしかして、Aは俺に甘えたくないのか?


炭「…っ」


ああ、また余計なことを考えてしまいそうだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:アニメ
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night(プロフ) - 大好きです! (2023年1月18日 16時) (レス) id: 5602430d0e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - とても好きな話です! 更新楽しみにしています! (2021年12月8日 14時) (レス) id: e6cdaefa61 (このIDを非表示/違反報告)
そらね - 炭治郎怖いけどこーゆーのもすきですね...更新お願いします!!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 4fd123f034 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - たんじろこわい、、、でもそんなところも嫌いじゃない、、、更新楽しみにしてます、、! (2020年10月29日 9時) (レス) id: 26a5fa8b7e (このIDを非表示/違反報告)
菜桜 - 更新楽しみにしてます (2020年8月12日 23時) (レス) id: 0c7894f68f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なみ | 作成日時:2020年3月18日 19時

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