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その後私は、戻ってきた保健室の先生に体調が良好なことを伝えて、迎えに来ていた母の車に乗り家に向かっていった。

その間さえも
流れていくオレンジ色の景色を見つめて、
私は他のことに気を向けようと必死になっていた。




けれど、どうしても彼の不意にしてもらう
優しさに…



甘えたくなる私がいる。




どうして…

もう、別れているのに。



どうして、私に優しくするの?



どうしてよ。どうして…





どうして…!






赤信号で止まる車。
車内には、母が好きな80年代の曲が流れている。
時代ならではの落ち着いたテンポの曲。

私の視線は自然と…

窓の向こうの建物から、



看板へ、




先頭車へ、







赤信号へ…向けられた。



赤信号の赤が、
彼の髪、瞳の色を思い出させる。



視線まで、思考まで独占されている私は…



私は…



私、、は……






彼のことが…






【俺の前で嘘なんてつくな】

【頼むから良い子なAでいてくれ】

私はハッとして、
頭の中で無理やり
彼にあびせられた心無い言葉を再生する。

【誰からだ?】

【…それ。誰からだって聞いているんだ】



自分の心を誤魔化すように。


【今、どこにいるんだ?】


【嫌なら誘わない。もういい。切るぞ】


【ああ、ごめんな。痛いよな…

でも悪いのは全部Aなんだからな】



それを再生することで、
今思った私の気持ちがただの《勘違い》なのだと。



勘違い…なのだと。







【その…なんていうか。…綺麗だ】


必死にこの想いを塗り替えようとしているのに。



【A、おはよう】



もう、いい加減にしてよ。




【美味しいか?A】



なんでよ。なんでよ!!!



【それ、下の子達が大好きなんだ】


私は貴方なんか!




【よかったら、
また明日も俺の作ったパンを食べてほしい!】




貴方なんか…






炭治郎君なんか……







【ああ、駄目じゃないか。こんなにずぶ濡れになって…】【A、このままじゃ寒くて風邪を引いてしまうだろ?俺のセーターを…】【いいから、俺のことは気にするな…】【何言ってるんだ!無理なんてしていない。もしかして…】【明日、また君のために…】







__________【A。】





もう。


私ってほんっとうに、馬鹿。


貴方から貰った幾つもの愛を…


【分かってほしい。俺がおかしくなるのは君が好きだからだよ。】



手放してしまったんだね…

私だって、炭治郎君のことが…


…好きだよ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:アニメ
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night(プロフ) - 大好きです! (2023年1月18日 16時) (レス) id: 5602430d0e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - とても好きな話です! 更新楽しみにしています! (2021年12月8日 14時) (レス) id: e6cdaefa61 (このIDを非表示/違反報告)
そらね - 炭治郎怖いけどこーゆーのもすきですね...更新お願いします!!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 4fd123f034 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - たんじろこわい、、、でもそんなところも嫌いじゃない、、、更新楽しみにしてます、、! (2020年10月29日 9時) (レス) id: 26a5fa8b7e (このIDを非表示/違反報告)
菜桜 - 更新楽しみにしてます (2020年8月12日 23時) (レス) id: 0c7894f68f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なみ | 作成日時:2020年3月18日 19時

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