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母「ん、そういえばねぇ、Aがここに来る時竈門くんっていう男の子と話したのよ〜」
『っ!!…ゴホッゴホッゴホッッ』
母「え、ちょっとあんた大丈夫?!?」
思い切りむせた私を、
母が私の背中を強くさする。
咳をしすぎて喉が痛い。
『な、なんで…か、竈門君と…?』
母「ほら、さっきちょっと風強かったじゃない?その拍子であたしの帽子が飛んじゃってね〜。
それでその、竈門君が取ってくれたのよ〜」
『…でもなんで名前まで知ってるのっ。』
母「そうそうそれがね、帽子を拾ってくれた時に私の顔見て、〈もしかしてAさんのお母さんですか?〉って。
〈俺、竈門炭治郎って言います。同じクラスなんですよ〉って言ってきたのよ〜!」
『…。』
顔を見て私の母親だと分かるなんて、
炭治郎君すごいな。
私、どっちかっていうと顔はお父さん似って言われることが多いのに。
母「ねえねえ、その竈門君って子なかなかイケメンじゃな〜い?あんた、つかまえちゃいなよ〜」
つかまえちゃいなよって…
てか逃がしたっての。
…
少し強かった風は収まり、
休憩用のテントから出ると
じわじわと太陽の熱が暑く感じた。
ハチマキを巻き直して、
靴を脱ぎ、靴下も脱いで無くさないように靴の中に忍ばせる。
「あっつー、日焼けするわーこれ。」
「それなぁ〜」
13時20分。
騎馬戦に向けて、白い線の内側には
1学年の女子たちが班ごとに並んでいた。
暑い。暑いのに、
これから騎馬戦という名の地獄が始まると思うと、
それだけで指先が凍りつくように冷たくなる。
確実に、周りから見たら私の足が震えているのが分かるはずだ。
逃げ出したい…
「.....もーし。あの、大丈夫ですか?」
不意に誰かが私の目の前に
蝶の髪飾りをつけた女生徒が現れて、
ドキッとして慌てて返事をする。
『は、はいっ...』
よく見てみると、
とても整った顔をしている。
女の私でも思わず見入ってしまうほどにだ。
背は私よりも低いけれど、...先輩?だろうか。
「返事が随分と遅いですね。顔色も良くないみたいですし...」
『い、いえ大丈夫ですっ、ご心配ありがとうございますっ...』
「そうですか...あまり無理なさらないで下さいね。午前中だけでも3人程熱中症で体調を崩した方がいらっしゃったので。」
そう言って、先輩は私のそばを離れて行った。
あ、今...花の香りがした気がする...
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night(プロフ) - 大好きです! (2023年1月18日 16時) (レス) id: 5602430d0e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - とても好きな話です! 更新楽しみにしています! (2021年12月8日 14時) (レス) id: e6cdaefa61 (このIDを非表示/違反報告)
そらね - 炭治郎怖いけどこーゆーのもすきですね...更新お願いします!!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 4fd123f034 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - たんじろこわい、、、でもそんなところも嫌いじゃない、、、更新楽しみにしてます、、! (2020年10月29日 9時) (レス) id: 26a5fa8b7e (このIDを非表示/違反報告)
菜桜 - 更新楽しみにしてます (2020年8月12日 23時) (レス) id: 0c7894f68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なみ | 作成日時:2020年3月18日 19時