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カチ…カチ…と、自室の秒針の音が鳴り響く。
時計に目をやると、時刻は9時10分を過ぎていた。
もう、1時限目が始まった頃だろうか…
コンコンッと優しく扉をノックする音が聞こえた。
んーー。と、寝起きの枯れた声で返事をする。
扉から顔を覗かせた母が、お粥を持ってきてくれたのだ。
母「学校には体調不良で休むって伝えといたわよ〜。もー…何言ったって聞かないんだからぁ…」
ブツブツ文句を言って机にお粥と水を並べていく。高校生になってから学校を休むのは初めての事だった。
父親が出て行った中学二年の頃からは、度々不登校になりかけていたけれど…
そのせいで私、中高一貫なのに高校に上がるまで炭治郎君の存在も知らなか____
彼のことを思い出した瞬間に、私は頭を横にブンブンッと振る。
「今日は18時までパートだから、お昼ご飯は適当に食べてねっ。じゃあママ行くから！」と、足早に階段を降りていき、玄関を出て車を発信させる音が聞こえる。
再び、秒針だけが鳴り響く部屋に戻る。
お粥を食べ終えて、布団に潜り目を瞑った。
…
もう一度目が覚めた時には、時刻は既に15時を過ぎていた。
眠りすぎて頭が痛い。
その時、ハッ…と思い出したかのようにベッドから出て、クローゼットを開け、ハンカチやタオルが入った棚を探り始めた。
花柄…花柄…
ボサボサになった髪を掻きむしって、
ここでもないここでもない…と奥の方まで探してみる。やはり、父から貰った花柄のハンカチはない。前にも必死に探したのを覚えている。やはりどこかで落としたか…。
諦めて、もう一度ベットに戻る。
一つだけ覚えていることがある。
知らない小さな男の子が、涙と流してわんわん泣いていて、
それを、私のお気に入りのハンカチでポンポン…と優しく拭いてあげる…
そんなようなことが過去にあったはずなのだ。
そう、私…あの時、父の日のプレゼントを買いに行っていたんだ。父の日のプレゼントだからって、ママから1万円札を貰ったんだ。
14歳にとっての1万円札は、持っているだけで少し大人になれた気持ちになってウキウキしていたのを覚えている。
でも、その1万円札は最初にプレゼントに使ったわけじゃ…
1万円札は…
そう…確か男の子はパン屋さんの前で泣いていて…
私、
私…
『男の子に…パンを……』
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night(プロフ) - 大好きです！ (2023年1月18日 16時) (
レス) id: 5602430d0e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - とても好きな話です！ 更新楽しみにしています！ (2021年12月8日 14時) (レス) id: e6cdaefa61 (このIDを非表示/違反報告)
そらね - 炭治郎怖いけどこーゆーのもすきですね...更新お願いします！！！ (2020年11月29日 10時) (レス) id: 4fd123f034 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - たんじろこわい、、、でもそんなところも嫌いじゃない、、、更新楽しみにしてます、、！ (2020年10月29日 9時) (レス) id: 26a5fa8b7e (このIDを非表示/違反報告)
菜桜 - 更新楽しみにしてます (2020年8月12日 23時) (レス) id: 0c7894f68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なみ | 作成日時：2020年3月18日 19時
