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嫌じゃない。
その一言を口にしただけなのに、
炭治郎君は上機嫌に次々と予定を組み立てていく。



[じゃあ、バイトお疲れ様。暗いから気をつけて帰れよ?]

『うん、ありがとう。じゃあね』


今度こそ電話を切って、
そそくさと着替えて裏口から店を出る。
電話を切った時、
心の底からホッとしてしまったのは気のせいだろうか。


今週の土曜日、午前10時駅前に集合。
私たちは二人で水族館を観に行くことにした。
特に行きたいところもなかったから、
提案をした炭治郎君に全て任せてしまったけれど…




「俺の前で嘘なんてつくな」


「頼むから良い子なAでいてくれ」




ふと、放課後彼に言われた数々の台詞を思い出す。

あの時、お日様のように暖かかった炭治郎君の胸の中で、
確かに私は涙が零れ落ちそうなほどにブルブル震えていた。

正直、彼が怖くてたまらなかった。

口内の傷がピリッと痛むと同時にその時の出来事が頭の中で再生される。


…土曜日は何事もなければいいと、
自分を安心させながら玄関のドアを開けた。




炭治郎目線

真っ暗になってしまったスマホの画面をじっ…と見つめながら、
先程電話していた彼女の声をひとつひとつ思い出していた。

バイト先は、確か飲食店と言っていたな。
…男は、いるんだろうな。

本人には「仕事しているところを知人に見られるのは恥ずかしい」という理由で
バイト先を訪れるのは拒否されたが、
Aが接客している姿は一度この目に焼き付けておきたいと思っている。
今度こっそりあとをついて行ってバイト先を特定しようか。



炭「…水族館…」

ああいう暗い場所が多いところだと、
人に見られる恥ずかしさもないだろうし手を繋いでも良さそうだな。
人が多くなければ抱きしめても大丈夫だろうか。

あわよくば…なんて考えてしまう。

ああ、寝る前にもう一度彼女と電話をしたい。
最後に「おやすみ」と一言言っておけばよかった。
彼女が眠る前に耳に残る声は家族の声じゃなくて俺がいい。

今すぐに電話をかけては駄目だろうか___

思いつくと手が止まらず、
俺は真っ暗だった画面を開いて
すぐに彼女とのトーク画面を開く。

開いた先で、一方的に送り続けていた俺のメッセージが目に入った。

一方的なメッセージから見えるのは一方的な愛だけだった。
これじゃあ、俺だけがお前を好きみたいだな。


…そうじゃないはずなのにな。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:アニメ
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night(プロフ) - 大好きです! (2023年1月18日 16時) (レス) id: 5602430d0e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - とても好きな話です! 更新楽しみにしています! (2021年12月8日 14時) (レス) id: e6cdaefa61 (このIDを非表示/違反報告)
そらね - 炭治郎怖いけどこーゆーのもすきですね...更新お願いします!!! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 4fd123f034 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - たんじろこわい、、、でもそんなところも嫌いじゃない、、、更新楽しみにしてます、、! (2020年10月29日 9時) (レス) id: 26a5fa8b7e (このIDを非表示/違反報告)
菜桜 - 更新楽しみにしてます (2020年8月12日 23時) (レス) id: 0c7894f68f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なみ | 作成日時:2020年3月18日 19時

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