とある少女の呪術奇譚【呪術廻戦】

第五話−両面宿儺・其ノ参− ページ5

　
　
グラウンドに向かうと、高木先生が丁度砲丸を投げたところだった。距離は14mでかなり良い記録みたいだ。

「ゆーじ 頑張れ」

「おう！」

ニカッて笑うとゆーじは砲丸を普通のピッチャー投げで思いっきりぶん投げた。


ゴイイィィィィン…


若干煙が出ながら、サッカーゴールのポストにめり込んで"しゅうう"と音を立てている。

みんなポカンとしてるけど…ま、ゆーじだからこの位当たり前だよね。


※サッカーゴールから虎杖まで30m。ありえん。


「…あ！ゆーじ、時間だよー」

「え ああっ！もう半過ぎてんじゃん！」

「急ご急ご！」

ゆーじと同じ速度で走り急いで門に向かう。その時にあの黒髪の子の隣を通り過ぎて行った。


「おい オマエ───」


「───？」


呼ばれた様な気がしたけど…気の所為かな。

それよりも、早くおじいちゃんの所に行かなくちゃ。








　






今思えば、この時ほんの少しでも立ち止まってさえいれば、ゆーじがこの先死への道を辿ることはなかった。

もしあの時、ゆーじを引き留めて話を聞いてさえいれば、ゆーじは今も普通に学校に行って、普通に授業を受けて、普通にオカ研で先輩達とネタ探しをして、普通に家に帰って、普通に一日を終えてるはずだった。





もしも、あの時、ああしていたら、こうしていたら、そうしていれば……。





─────私が、あの時、立ち止まってさえいれば。



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