第三十七話−此の世在らざるモノ− ページ37
生き物もしての本能が訴える、「早く逃げなきゃ死ぬぞ」と。
光君も異質な空気に気づいてしまったのか、トンネルの先から聞こえる"テケテケ"という音に耳をすませる。
そして、"ソレ"は暗がりの向こう側から現れる。
にこにこと笑っている女の子だ。女の子が、ほふく前進をしながらやって来た。
頭や胴体からおびただしい量の血を流し、黒のセーラー服を赤く染め上げているというのに、表情は朗らかな笑顔。
ミスマッチでちぐはぐ、明らかに異常であるのに笑っているから余計に不気味さが増していて、恐ろしい。
そして、一目見て理解した。
"私はコイツに勝てない"と。
「(走って逃げる?いや、それよりも誰か人を呼んだ方が…ああ!スマホは部屋に置きっぱなしだった!!)」
自分の軽率な行動を呪いながら、どうにか光君を逃がすことを考えるけど、こんな時に限っていいアイディアというのはひとつも浮かんでこない。
「あ、あいつ…!」
「、光君 何か知ってんの?」
「と、友達から聞いたんだ…たぶん、あれ"テケテケ"だよ…!」
"テケテケ"!?
もう!東京って呪いのバーゲンセールでもしてんのかよ!?
「夜のトンネルで、テケテケが出るって…友達が話してて…あったら死んじゃうって…」
「私も話だけなら聞いたことある メチャクチャ移動が速くて一度遭遇したら逃げられない、体当たりされて真っ二つにされるって」
「ど、どうしよう…おねえさん…!」
私も伏黒や野薔薇ちゃんみたいに呪術が使えたら…!
いや、そんなのは甘えだ!あの日から呪力のコントロールも体術も鍛えた!任務もいくつもこなしてきた!
あの日の無力な自分とは違うんだ!!
考えろ!今出来る最善を!
「……光君、私がアイツを引き付ける だから今から言う番号にトンネルを出て連絡してくれる?」
「え、?!」
メモしてあった紙をちぎって光君に手渡す。
「真っ直ぐ出た方向に電話ボックスがある 私が走ると同時に光君も走れ
何があっても、絶対に振り向くなよ」
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レキ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!すみません(汗)変換機能の事を忘れてうっかりそのまま書いちゃってました…直しておきます!! (2021年2月24日 20時) (レス) id: 86fe443189 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 13ページ 悠久の"悠"に"歌"で とありますが、名前変換出来るのに書かれると可笑しな事になりませんか?? この場合どちらかと言うと名前固定した方がしっくりきます。 (2021年2月18日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - 畢竟無さん» コメントありがとうございます!あともう少しで続編書けますので!もう暫しお待ち下さい!! (2020年7月15日 13時) (レス) id: 3dee18d2c3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新楽しみにしてます! (2020年7月15日 12時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - あみみさん» コメントありがとうございます!楽しんでもらえて嬉しいです!!私も姉妹交流会の話が好きなので頑張りますね!! (2020年6月23日 5時) (レス) id: 2b56840397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レキ | 作成日時:2020年2月20日 6時