第三十四話−愛別離苦・其ノ伍− ページ34
・・・・・・
声が出なくなるまで泣き続けた。
泣いて泣いて、泣き続け、体中の水分が抜け落ちるまで涙を流した。
高専を勢いのままに飛び出して、宛もなく街を走り抜けて狭くも広い東京の階段下で、人目もはばからず日が暮れるまで膝を抱えて顔をうずめて泣いていた。
ゆーじに会いたい、会いたい、会いたい。
人工の明かりが昼間のように照らし、景色を彩っているけど東京の空には星は輝かず、少し曇った空だけが広がっている。
それが余計に悲しくて、また顔を俯かせてしまう。
もう、いっそのこと、消えてしまいたい。
─────ぐすん、ぐすん
ふと、誰かの泣き声が近くから聞こえる。
誰だろう？そう思って私は抱えていた膝から顔を上げ、一歩踏み出して歩き始める。
街の喧騒から離れた薄暗い高架下のトンネルから、泣き声が聞こえた。声を聞いてみる限り子供みたい。
中に入り進むと、小さな男の子がさっきの私と同じように膝を抱えて涙を流していた。
「…どうしたの？」
「！…おねえさん 誰？」
「虎杖悠歌 君は？」
「
目を赤く腫らして、とても悲しそうな表情を浮かべている。
「ここは危ないよ 家に帰らないの？」
顔に傷みたいなのがあるけど見た感じ小学校低学年。時間も遅いのになんで一人でこんな所にいるんだろ？
「……帰りたくない」
寂しそうな姿が放っておけなくて、私は黙って光君の隣にそっと腰を下ろした。
しばらくの間はお互い何も聞かずに、光君のすすり泣きだけがトンネルに響いていたけど、それもじょじょに落ち着いてきて光君は静かに顔を上げて口を開けた。
「……おねえさんも泣いてたの？」
「…うん……私の家族がね…お兄ちゃんが、死んだの…」
「……そっか…じゃあ、ぼくと同じだね…」
｢ぼくもお母さんが死んじゃったんだ｣と、光君はいくらか落ち着いた声で語りだした。
話す直前、不気味な笑顔を浮かべていたが、私はそれに気づくことはなかった。
.
第三十五話−愛別離苦・其ノ陸−→←第三十三話−愛別離苦・其ノ肆−
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レキ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます！すみません(汗)変換機能の事を忘れてうっかりそのまま書いちゃってました…直しておきます！！ (2021年2月24日 20時) (
レス) id: 86fe443189 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 13ページ 悠久の"悠"に"歌"で とありますが、名前変換出来るのに書かれると可笑しな事になりませんか?? この場合どちらかと言うと名前固定した方がしっくりきます。 (2021年2月18日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - 畢竟無さん» コメントありがとうございます！あともう少しで続編書けますので！もう暫しお待ち下さい！！ (2020年7月15日 13時) (レス) id: 3dee18d2c3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新楽しみにしてます！ (2020年7月15日 12時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - あみみさん» コメントありがとうございます！楽しんでもらえて嬉しいです！！私も姉妹交流会の話が好きなので頑張りますね！！ (2020年6月23日 5時) (レス) id: 2b56840397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レキ | 作成日時：2020年2月20日 6時
