第三十二話−愛別離苦・其ノ参− ページ32
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心と体がうまく動いてくれない。
病院から出て、高専で"家入先生"という物憂げな雰囲気の女の人に治療を受けて、ケガは治って歩ける様になった。
でも、なんだか心と体がちぐはぐで、見える景色はセピア色、食べても砂を噛んでるみたいで味がしなくて、バレないようにトイレでこっそり戻す。
夜も、まったく眠れない。
眠ると"あの日"の事が夢に現れて、何度も何度も目が覚めて、寝付けない日々が続く。
先輩たちと自己紹介もしたけど、あまり、よく覚えてない。
………"あの人"は……"あの人"なら、どうしてたっけ?
唐突に、ふと思い出したのは"あの人"の、どこか哀愁漂う穏やかな横顔。
"あの人"は、今どこにいるんだろう?
"あの人"に、会いたい。
私の─────…
「悠歌!ナニ遠くを見てんのよ?」
「!の、野薔薇ちゃん」
「(珍しく意味ありげにボケッとしてたわね これはぜひ聞いてみないと)
ちょっと伏黒ォ!アンタも来なさいよ 悠歌が恋してるわよ!」
「な?!こ、恋?!?!」
いやでも一気に顔に熱が集まって赤くなるのは自分でもわかった。野薔薇ちゃんから見れば熟れたリンゴみたいに真っ赤だろう。
「べ、べべ別にそんなわけじゃ…(ゴニョゴニョ)」
「(ドンピシャしてんじゃねえか)」
「(私も今驚いてるトコよ)」
「(テキトーに言ってたのかよ)」
少しテンパって誤魔化そうにも野薔薇ちゃんはそれを見逃してくれるほどお優しくはなかった。真希先輩のトコに戻ったらじっくり聞かれるみたい。
…に、逃げたい(汗)、色々と逃げたい…!
伏黒にヘルプの視線を送るけどことごとく無視される。女子の恋バナには巻き込まれたくはないらしい。
「じぃ〜っくり聞くから(ニッコリ)」
「ふ、伏黒ぉ…(泣)」
「俺は関係ない(これで少しでも気晴らしになればいいが…)」
「薄情者…!」
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レキ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!すみません(汗)変換機能の事を忘れてうっかりそのまま書いちゃってました…直しておきます!! (2021年2月24日 20時) (レス) id: 86fe443189 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 13ページ 悠久の"悠"に"歌"で とありますが、名前変換出来るのに書かれると可笑しな事になりませんか?? この場合どちらかと言うと名前固定した方がしっくりきます。 (2021年2月18日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - 畢竟無さん» コメントありがとうございます!あともう少しで続編書けますので!もう暫しお待ち下さい!! (2020年7月15日 13時) (レス) id: 3dee18d2c3 (このIDを非表示/違反報告)
畢竟無(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新楽しみにしてます! (2020年7月15日 12時) (レス) id: f1eda83896 (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - あみみさん» コメントありがとうございます!楽しんでもらえて嬉しいです!!私も姉妹交流会の話が好きなので頑張りますね!! (2020年6月23日 5時) (レス) id: 2b56840397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レキ | 作成日時:2020年2月20日 6時