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……南イタリアの治安もだいぶ良くなったな。
この前はトマトを安く売ってくれたり、少しおまけをつけてくれたりもした。
ロヴィの調子が良いのだろうか。
昨日ははやく寝てしまった。最近よく寝られる。
サンマリノも治安良くなってるのかな、と思ってしまう。
そんなことを考えながらロヴィとの待ち合わせ場所へ向かっていると、背後から声が聞こえた。
「あれ？Aちゃんやない？」
特徴的な声にこの話し方、まさか、と思い後ろを振り向くとやはりトーニョがいた。
「やっぱりAちゃんや！久しぶり！」
「あれ？Aちゃん見ないうちにえらいべっぴんさんなったなぁ！」
「親分惚れてまうわぁ〜」
ひとりでにこにこと話すトーニョ。
はい、はい。と適当に相槌を打っていると、
「ちぎぇっ。なんでここにトーニョがいるんだよ。コノヤロー。」
ロヴィが来た。
楽園やんなぁ、と1人でにこにことしているトーニョを横目に、今日は何するの、とロヴィに聞く。
「あー、今日は特に決めてないな。市場でも回るか？」
「親分も一緒に回るで」
『市場いいね、いいよ行こっか。』
談笑しながら3人で市場へと向かった。
歩いていると段々と人が多くなってくる。財布のスリに気をつけながら歩く。
南イタリアのスリの上手さは本当にすごい。何回も盗まれている。
南イタリアの祖国様もスリが上手いんじゃ、そりゃあ皆上手いわけだ、と感心している。
…感心するところでもないが。
ふと右をちらりと見ると、トマト缶を売っていた。その値段を見て私は
『え、今の南イタリアこんなに安いの…？？』
経済が成り立つのだろうか。
元々サンマリノは観光業だけで稼いでいるため、物価も高い。
毎回この物価に驚かされる。
「あー、そんなに安いわけでもねぇぞ。日本の方が安いって。ヴェネチアーノが。」
日本さん…。日本さんの家に行ってトマト缶を大量に買おうかな…。
「トマト缶なら、親分が手作りで作ったるで！」
もちろん、お金取らへんで！と言うトーニョ。
スペインにもお世話になっている。ふつーに安すぎる。
『もうこの人たちの家だけでいいわ…。』
「ちょ、Aちゃん！消えようとすな！」
「そうだぞ、せっかく遊ぶのによ。コノヤロー。」
『えへへ、消えないよ〜。とりあえずこのトマト缶がある限りは消えない〜。』
その後両手に野菜が入ったトートバッグを持って笑顔で帰りました。
2023/08/04
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作者名：コなポテト | 作成日時：2023年6月11日 22時
