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食事を終え、ソファで本を読んでいると、フェリがパンナコッタを両手にこちらへ来た。
片方をこちらへ差し出してくれたので、ありがと。と言い、受け取った。優しい。

スプーンですくい、口に入れると、とろけるように喉を通った。
バニラの香りがきいている。これでこそパンナコッタだ。

…忘れていた。やべ、と思い壁に掛けてある時計に目を向ける。
終電はもうとっくに過ぎている。さてどうやって帰ろうか。

『イタリアから帰れねぇ〜きつい〜』
イギリス軍かよ〜かなしぃ〜と頭を抱えていると、フェリが
「俺送ろうか〜?」
と言ってくれた。優しい。
ここで断ってもどうやって帰るのか分からないし、ここからサンマリノまで300kmもある。
車で来ていないので、ここは甘えさせてもらうしかない。

『フェリくんありがとう…。お願い〜…』
本当にありがとうございます。
「…。バカ弟。てめぇ明日会議だろ。俺が送る。」
「ヴェ。いいよ?別に〜」

『フェリちゃんドイツと約束してるんでしょ?休んでていいよ。』
「ヴェ〜…A優しいね、grazie……。」
「ちぎぇっ。俺も褒めろよコノヤロー…。」

ということでロヴィに送って貰うことになった。







「……A。」

有料道路をロヴィの車で走っていた私達は、話題につまり、ラジオを聞いていた。
突然名前を呼ばれ、困惑した。

ラジオについてだろうか、はたまた有料道路のお金の件だろうか。……それはもう私が払うことで習慣化しているので違うだろう。

『どうしたの?』
と聞いてみる。

「……、あの、さ。フェリシアーノのこと、Aはどう思ってる」

予想外の質問だった。あまりロヴィがフェリちゃんの話題を出すことはなかった。
珍しく思いつつも答える。
『フェリちゃんはね〜やっぱり、優しくてかわいくて、いい弟だと思うよ。』

「……そうかよ。」

と言ってロヴィの顔がむすっとする。
もしかして、嫉妬してたりします?
そう思い記憶を辿る。もしかしたらフェリちゃんばかり構って褒めてたかもしれない。

『ね、ロヴィ。もしかして嫉妬、してたりする?』

嫉妬してたらかわいい。親分の気持ちがめちゃくちゃわかる。

『私、フェリちゃんばかり構ってたかな。ごめんね、ロヴィ。明日沢山遊ぼうね。』

「ちぎっ、そんなこと言われなくても沢山遊んでシエスタしてやるぞ、コノヤロー。」


2023/07/01

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作者名:コなポテト | 作成日時:2023年6月11日 22時

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