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約2時間ほど眠りについていた私は、目を覚まし、体を起こした。
寝室にある大きな窓から外を覗くと日は既に沈みかけていた。

2人はまだ寝ていたが、彼らがあまりにも心地よく眠っていたため、起こすのは辞めた。


久しぶりにお姉ちゃんがパスタでも作ってあげようと思い、起こさぬようにゆっくりベッドから降り、キッチンへ向かった。

キッチンの棚を開けると目に付いたパスタ、にんにく、赤唐辛子を手にとる。
ニンニクをきざみ、玉ねぎを薄切りに、トマトをざく切り。

深めのフライパンにオリーブオイルを垂らし、にんにく、赤唐辛子を入れ、その後トマトを炒める。
トマト缶を開け、投入。と同時に茹でたパスタの茹で汁をトマト缶の½ほど注ぐ。

作っていると、ドアの音がした。あまり音がしないので、フェリだろうか。

「ヴェ…起きたらAが料理してる。何作ってるの?」

フェリだった。

『…絶望。』

「…。あ、絶望、ね。うん。美味しいよね、絶望。」

『フェリ、もう少しでできあがるからロヴィ起こしてきてくれる?』


「いーよ!…んー、ちょっとその前に」
と言ってフェリは私の後ろに立ち、抱きついてきた。

『ん、え?な…。どうしたの?今危ないよ』

「明日兄ちゃんと2人だけで遊ぶんでしょ。」

…そうだった。フェリは国際会議だし、ロヴィに約束(無理やり)されたから2人だけだ。

「俺、寂しいな〜。嫉妬しちゃう。」

私の背中に顔を埋めるフェリ。くすぐったい。

『じゃあまた今度ロヴィに内緒で私の家でも来る?好きなお店出来たんだ。』

「え、ほんと?やった〜!」
フェリはパッと手を離し、クルクルと回った。

「じゃ、兄ちゃん起こしてくる!」
めっちゃご機嫌になりました。



「お、絶望のパスタじゃねーか。うまそ。」
ロヴィは机に3つ並べられたパスタを見るなりそう言った。

「ヴェ…絶望のパスタってなんだっけ…。思い出せそう…。思い出せ俺の頭…!」

『ペペロンチーノだよ。絶望してても美味しく食べられるってこと。』

スープがなみなみと注がれた皿の上に綺麗に盛り付けられたパスタ。
今すぐにでも食べたいぐらい美味しそうだった。

『「「Buon appetito(いただきます)」」』


カチャ、カチャと陶器が鳴る。
政治だとか、今国内で流行っているものとか、
いろいろ話す。

たまには言い合いも交えて。
この食事の時間もとても好き。
というより、この兄弟といる時間が好き。

2023/06/12

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作者名:コなポテト | 作成日時:2023年6月11日 22時

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