【WT】Enchante (ページ9)

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【kr】嗚呼、神よ！ページ9

「ねぇねぇ！Aも行こうよ！肝試し！」

後悔先に立たずとはまさにこのこと。

何時もの通学路には少し変わった場所がある。
藪だ。林と言ったほうが良いかもしれない。

閑静な住宅地の中にぽつんと佇むその藪は何故か小さな頃から大人たちに「入ってはいけない」と口を酸っぱくして言われたもので。

発案者なのにも関わらず顔を真っ青にしながら懐中電灯を握り締める友人に少し呆れながらも私は足を踏み入れた。

『…え？』

風が吹く。

目を閉じた次の瞬間。
彼女は消えていた。

『うそ…！？何で…』

半ばパニックになりながら名前を叫んでもあの明るい声が返ってくる事は無く。
一気に訪れた不安で身体が脱力する。

周りを見渡しても私達が入ってきた入口は何処にもない。
何も考える事が出来なくなって、頭が割れるように痛くなって堪えきれなくなった涙がスカートに染みを作る。