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Tsubaki Side
七桜が草薫会の和菓子の依頼を勝手に引き受けた時、
俺はふざけるなと怒鳴った。
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でも、
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“…怪我のせいで断ったって知ったら、
Aさんが罪悪感感じるんじゃないの”
“……この店を立て直すんでしょ?
私もその力になりたい”
力強い目と、その言葉に、
こいつにかけてみよう、と思ったんだ。
.
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茶会当日の朝。
七桜が作り上げた落とし文は完璧な出来だった。
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椿「落とし文…、一つだけ俺に作らせてくれ。」
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七桜「……椿さんは、大旦那様と、何があったの。」
椿「…。」
七桜「…もし、血が繋がっていなかったとしても、
ずっと一緒に過ごしていくうちに、
情がわいたり、優しくなったり…、
自然とそうなっていくもんなんじゃないの…?」
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椿「…小さい頃は、
大旦那からも、お茶を教わったりしていた。
……………あの日までは。」
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あの事件の日、俺が見たのは、
さくらの母と俺の父が揉めているところではなく、
二人がキスをしているところだった
と、大旦那に打ち明けた。
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椿「…その日を境に、
あの人は俺を孫として扱わなくなった。
いくら謝っても、俺のお菓子は食べてくれなかった。
何度作っても…、…一口も。」
七桜「……そんな。」
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何もかも失い、家の中でさえ居場所が無かった俺にとって、
Aだけが、希望だった。
Aだけは、俺のそばから離れなかった。
それは愛情などという優しいものでは無いかもしれない。
ただ、家の決めたことだから、と
仕方なく運命を受け入れていただけかもしれない。
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椿「…………でも、俺は誓ったんだ。
…………光月庵を必ず俺のものにする。」
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…そして、Aを、
どんな時も、俺を見捨てず、
唯一の希望だった彼女を、
絶対に幸せにしてみせる、………と。
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紙兎(プロフ) - みかさん» お久しぶりです!ありがとうございます! (2020年11月4日 0時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
みか - 久しぶりです。めっちゃ楽しい作品になってますね。 (2020年10月31日 11時) (レス) id: de0ef4c44d (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - ぱぴこさん» ぱぴこさん初めまして!とっても嬉しい感想をくださってありがとうございます!面白いと言って頂けると書いていて良かったと思えます!移行してもよろしくお願いいたします´`* (2020年10月31日 11時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 紙兎さん、はじめまして!いつも見てます!本当に本当にこの作品が大好きで更新を日々待ちわびております笑 紙兎さんみたいな上手で面白い作品が作れるよう頑張っていきます!移行おめでとうございます!これからも応援してます! (2020年10月29日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - カリリンさん» そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(^^) (2020年10月27日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年9月24日 23時