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椿「…A…?」
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その日の夜、
彼と並んで敷いた布団に横になりながらも、
グルグルと頭の中で回り続けるのはあの紙のことで。
意識がどこか遠くに飛んでいた。
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それに気づいた椿は何度も私の名前を呼んでいたようで、
心配そうな顔でこちらを見つめている。
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「……え、あ、」
椿「どうした、具合でも悪いのか。」
「……っ…ううん、大丈夫、」
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不意に手が伸びてきて、ビクッと体が震えた。
逃げるみたいに身を引けば椿はちょっと傷ついた顔をして、
それを見て一気に罪悪感が溢れた。
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椿「………A。」
「…ん?」
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布団の中で、ぎゅっと手を握られて、
真剣な眼差しの目が合う。
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椿「…好きだ。」
「…えっ…、…な、なに、急に…/」
椿「…別に。思ったことは思った時に伝えることにした。」
「……/」
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あれ、この人ってこんな心臓に悪いキャラだったっけ…、
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椿「…もうくだらないすれ違いで
お前と距離ができるのは御免だからな。」
「…つばき…」
椿「…もっとこっち来い。」
「………ん…」
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腕を引かれて、また抱きしめられれば、
…もう一生このままでいたい…、
って思うくらい心地よくて、
ぎゅ…、っと強く彼の背中に腕を回して、胸に顔を埋めた。
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私だって…、もう、すれ違いは嫌。
彼に隠し事なんかしたくないし、
私が言わなかったところで
隠しきれる問題じゃないことも分かってる。
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…でも、怖いの。
今のこの、暖かくて、涙が出るほど幸せなこの時間が、
一瞬で崩れ去ってしまいそうで。
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もしいつか崩れてしまうなら、
今だけは、もう少しだけこの温もりに浸っていたいの。
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「…………つばき…、」
椿「……?」
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“好き”
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紙兎(プロフ) - みかさん» お久しぶりです!ありがとうございます! (2020年11月4日 0時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
みか - 久しぶりです。めっちゃ楽しい作品になってますね。 (2020年10月31日 11時) (レス) id: de0ef4c44d (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - ぱぴこさん» ぱぴこさん初めまして!とっても嬉しい感想をくださってありがとうございます!面白いと言って頂けると書いていて良かったと思えます!移行してもよろしくお願いいたします´`* (2020年10月31日 11時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 紙兎さん、はじめまして!いつも見てます!本当に本当にこの作品が大好きで更新を日々待ちわびております笑 紙兎さんみたいな上手で面白い作品が作れるよう頑張っていきます!移行おめでとうございます!これからも応援してます! (2020年10月29日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - カリリンさん» そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(^^) (2020年10月27日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年9月24日 23時