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椿「七桜、そっちが終わったらこれ手伝ってくれ。」
七桜「はい。
あっ椿さん、この上生のことなんだけど、」
椿「お前がいいと思うならなんでもいい。」
七桜「え。」
椿「お前に任せる。」
.
.
「……。」
.
…近い。距離が。
落とし文の一件以来、
椿と七桜さんの距離が縮まった気がする。
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彼女が素晴らしい職人なのは私の目から見ても明らかだし、
椿もあくまで職人として
彼女を信頼しているだけなのは分かっているのだが…、
彼がこんな風に素の姿で女の子と接しているのを見るのは、
まだまだ免疫がないから、やきもきしてしまう。
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椿「…おい、」
「ひゃっ…、あ…っ、え、なに?」
椿「なにじゃない。手止まってるぞ。」
「…あ、ごめん。」
椿「……具合悪いのか?
……熱は…、ないみたいだが。」
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彼の大きくて冷たい手のひらが
私のおでこにぴと、とくっついて熱を計ってくるから、
“ひっ…” と小さく声が漏れてしまった。
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「…っ、だ、大丈夫…。」
椿「…ならちゃんとやれ。厨房でボーッとするな。」
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熱がないとわかった途端に冷たい。
どうせこの人は私を心配しているんじゃなくて、
倒れたりしたら色々面倒だから気にしているだけ。
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椿「今日は作業が少ないから早めに上がっていいぞ。」
「…はい。」
.
それだけ言うと、
椿はまた七桜さんのところに戻ってしまった。
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せっかく彼と話せたのに、
このモヤモヤした気持ちは全然晴れてくれなかった。
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紙兎(プロフ) - みかさん» お久しぶりです!ありがとうございます! (2020年11月4日 0時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
みか - 久しぶりです。めっちゃ楽しい作品になってますね。 (2020年10月31日 11時) (レス) id: de0ef4c44d (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - ぱぴこさん» ぱぴこさん初めまして!とっても嬉しい感想をくださってありがとうございます!面白いと言って頂けると書いていて良かったと思えます!移行してもよろしくお願いいたします´`* (2020年10月31日 11時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 紙兎さん、はじめまして!いつも見てます!本当に本当にこの作品が大好きで更新を日々待ちわびております笑 紙兎さんみたいな上手で面白い作品が作れるよう頑張っていきます!移行おめでとうございます!これからも応援してます! (2020年10月29日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - カリリンさん» そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(^^) (2020年10月27日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年9月24日 23時