□88 ページ43
**
仕事を終えて、
招待状の準備も一通り終えて、
さぁこれからゆっくり二人の時間を取れる…、と思ったのに、
先程からずっと、古い帳簿のようなものを広げている椿。
.
「…何してるのー?」
椿「得意先の確認だ。
結婚したら、挨拶回りもしなきゃならないからな。」
「…そっか。」
.
構って欲しくて、
甘えるみたいに背中にぴと、っとくっついてみたけど、
彼もかなり集中しているようだ。
.
離れろ、って言われるかな…、
と思いながらもそのままでいると、
くるっと振り返った椿が私を見つめて、
顔の距離が物凄く近くなった。
.
常日頃から思ってはいるが、
間近で見ると彼の顔は本当に整っている。
くっきりとした二重幅に、
くるん、と上向きなまつ毛はとても長くて、
凛々しくも美しい
女性的でもあり、男性的でもある華やかな顔立ち。
そんな彼に至近距離で見つめられたら、
ドキドキと心臓が高鳴るのも無理はなくて。
.
…え、なに、これ、キスされる…?
.
.
そんな期待を抱き、緊張で固まっていると、
ゴン、とおでことおでこがぶつかって鈍い音がした。
.
「った!」
椿「……今構ってやるから大人しくしてろ。」
「えっ」
椿「…構って欲しかったんじゃないのか?」
「……/」
.
否定も肯定も出来ずに口をパクパクさせていると、
それを見て、可笑しそうに吹き出した椿。
.
椿「ちょっと待ってろ。もう少しで終わるから。」
.
.
余裕たっぷりの顔がムカついたから、
彼の背中にぎゅ…っと抱きついて“早くして” と言えば、
一瞬で彼の耳が赤く染ったのがわかった。
.
言葉や表情にはあまり出さないけど、
意外と彼は分かりやすい。
**
2318人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紙兎(プロフ) - みかさん» お久しぶりです!ありがとうございます! (2020年11月4日 0時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
みか - 久しぶりです。めっちゃ楽しい作品になってますね。 (2020年10月31日 11時) (レス) id: de0ef4c44d (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - ぱぴこさん» ぱぴこさん初めまして!とっても嬉しい感想をくださってありがとうございます!面白いと言って頂けると書いていて良かったと思えます!移行してもよろしくお願いいたします´`* (2020年10月31日 11時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 紙兎さん、はじめまして!いつも見てます!本当に本当にこの作品が大好きで更新を日々待ちわびております笑 紙兎さんみたいな上手で面白い作品が作れるよう頑張っていきます!移行おめでとうございます!これからも応援してます! (2020年10月29日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - カリリンさん» そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(^^) (2020年10月27日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紙兎 | 作成日時:2020年9月24日 23時