□50 ページ5
**
金沢屈指の茶道の流派である草薫会から
椿に御菓子の依頼が入ったのは、
彼が怪我をした次の日のことだった。
大旦那様も招かれているこの茶会で、
下手な菓子は作れない、と、
この依頼を断ろうとした椿だったが、
半ば強引に七桜さんが引き受けたらしい。
二人が激しく言い合いをしているところを見たけど、
次の日には七桜さんと試作品の準備に励んでいた。
.
.
椿｢…違う、どうしてそこに線を入れるんだ？｣
七桜｢こっちの方が葉っぱらしく見えるでしょ？｣
椿｢ごちゃついて見えるだろ。｣
七桜｢そうかな？｣
椿｢……はぁ…、色粉を取ってくる。続けろ。｣
七桜｢…はい。｣
.
椿に厳しく指導されている七桜さんの表情は不満そうだ。
.
城島｢うわー！随分作りましたねぇ？｣
七桜｢納得いくものがなかなか作れなくて。
椿さん、線にこだわるから。｣
城島｢あの人、神がかってますもんねぇ…、
あ、ほらAさんも見てください！｣
｢…ん？｣
.
城島君に手招きをされたので、
流しの水を一度止めて行ってみると、
そこには無数の｢落とし文｣が。
.
｢…凄い…、これ1個作るだけで肩こりそう…。｣
七桜｢そうなんです！
この体勢から、1センチも動かせなくなるの！｣
城島｢いやいや、1ミリっすよ！｣
｢…ふふ、笑｣
.
和菓子のことで嬉しそうにはしゃぐ二人が可愛くて、
思わず笑が溢れる。
…すると、
.
.
｢…いたっ｣
椿｢何サボってるんだ。早く仕事に戻れ。｣
｢…普通に言ってよ！なんで頬を引っ張るの！｣
椿｢ムカついたから。｣
.
なんと横暴な男だ…！
私はちょっと二人と談笑していただけなのに…！
イラッとしながらも仕方なく仕事に戻る。
.
するとすぐに城島くんが富岡さんに呼ばれて、
七桜さんも落とし文に集中し始めて、
厨房は一気に静かになる。
**
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紙兎(プロフ) - みかさん» お久しぶりです！ありがとうございます！ (2020年11月4日 0時) (
レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
みか - 久しぶりです。めっちゃ楽しい作品になってますね。 (2020年10月31日 11時) (レス) id: de0ef4c44d (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - ぱぴこさん» ぱぴこさん初めまして！とっても嬉しい感想をくださってありがとうございます！面白いと言って頂けると書いていて良かったと思えます！移行してもよろしくお願いいたします´`* (2020年10月31日 11時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 紙兎さん、はじめまして！いつも見てます！本当に本当にこの作品が大好きで更新を日々待ちわびております笑 紙兎さんみたいな上手で面白い作品が作れるよう頑張っていきます！移行おめでとうございます！これからも応援してます！ (2020年10月29日 23時) (レス) id: f7a6ef29b4 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - カリリンさん» そう言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります(^^) (2020年10月27日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紙兎
| 作成日時：2020年9月24日 23時
