∽212∽ 個じゃなくて、 ページ28
夢主side
『…あの!!』
及川「…ん?どうしたの?」
及川さんがいつもより優しい表情で、
私を見つめてくる。
『私は、及川さんたちみたいに凄い魔力があるわけでもないし、
飛雄みたいに天才でもないし、
悲しい経験をしたわけでもないし、
何か特別な能力があるわけでもないんです。』
及川「…うん。」
『でも、そんなやつがいたとしても、
皆で力を合わせれば、
何とか上手く行くと思うんです。
及川さんたちは
自分達の事を責めてるみたいですけど、
その件については誰も悪くないと思います。
仕方がない、と言えば怒るかも知れませんが、
もう過去の事は過去の事なんです。』
黒尾「…」
『私も小さい頃、両親を亡くしました。
目の前で魔物に襲われて
手も足も出なかった。』
花巻「えっ…」
『でも、誰も悪くない。
それでも私は、
両親を助けられなかった自分を恨んだ。
けど、恨んでも恨んでも苦しい気持ちは消えることは無かった。』
雀田「A…」
『そんなとき、幼馴染みの翔陽と飛雄が私を救ってくれて…
私は少し気持ちが楽になりました。
確かに両親を失った苦しみは消えませんが、
いつまでも後悔してたって何も変わらないんです。』
日向「…」
『綺麗事に聞こえるかもしれません。
けれど、私は昔の翔陽や飛雄のように、あなたたちを助けたいんです。
私達は個人じゃなくてチームなんです。
辛いことがあれば、お互いに支え合いたいんです。』
国見「…」
『どんなに下手くそでも、どんなに馬鹿でも、皆で力を合わせれば、どんな困難だってぶち壊せるはずなんです!!
だからッ…』
二口「フッ…
俺もそう思います。
まぁ…何か三年生だけじゃ心配ですしね。」
白布「…確かに。
俺達も頼ってくださいよ。」
福永「…皆で助け合いましょう?」
『…先輩たち…!!』
二年生は私のあとに続いてそれぞれ話始めた。
日向「あ、あのっ!
俺、下手くそで馬鹿ですけど皆さん役に立ちたいです!」
国見「俺は下手くそではないですけど、皆さんの力になりたいです。」
及川「みんなッ…ありがとッッ…」
そういって、及川さんはワンワン泣き始めた。
黒尾「ちょっ、及川うるせーよ!」
花巻「号泣じゃん!」
雀田「うわ、及川鼻水汚な!!」
及川「ひ"ど"い"ッ"ッ"…!!」
そう茶化す先輩たちの目にも
涙が溜まっていた。
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作成日時:2018年2月18日 20時