world５４ 誕生日とは ページ8
柚葉side
先輩こと、瑠奈さん。彼女はフロイさんをひっぺがして、ササッとキャプテンの後ろに隠れてしまった。
「はは、そうしていると瑠奈、子猫みたいだね」
「仔猫言うなはよお家帰りなさい」
「つれないなぁ、あ、そうだそうだ。ご安心くださいイナズマジャパンの皆様方。我々ロシアチームにオリオンの使徒は居ない。我々は、オリオンを認めない」
そう言い残して、フロイさんは去っていった。なんだったんでしょう、後で瑠奈さんを問い詰めましょうか。そうしたらわかると思いますし。
「ゔー、フロイは年下の癖にボクのこと子供扱いして！もーなんで居合わせちゃったかなあんな場面」
「まあまあ、助け合いは良いことだろ？今は敵対してるとはいえ、お前の行動を責めるつもりはない。な、みんな？」
「但し、情報を流していないなら、ですけれどね」
「円堂の言葉にじんわり来て野坂の言葉に打ちのめされたんだけど。君本当に年下？」
胡乱げな視線を向けられながらも、涼しい顔で野坂先輩は切り返す。
「瑠奈さんが三月生まれなら、一ヶ月しか違わないですね？貴方の誕生日“は”知らないので、」
「宇生賀谷の時とおんなじだよ、3月30日」
教 え て た ん で す ね 。いや個人の自由だとは思いますよ？でもキャプテン達には知らせてなかったみたいだし、それはちょっといかがなものかなと。
「たったの３日違いじゃない、気にしない気にしない」
「うわーなんかイラッとくるー」
「何気に初めて誕生日聞いたんだけど……つか３日違いって……」
「あと２日遅く生まれてたら同学年だったね」
「やだよ照美が良い……」
心底嫌そうなお顔していらっしゃる。嗚呼、でも彼女は未だ幼さが抜けない。子供扱いしたくなる気持ちも分からなくはない。
「絶対失礼なこと考えてるよね、ユズ」
「さぁ？なんのことだか分かりませんね〜」
「うがあぁあ！あしらうな！仮にも君の保護者だよ！」
頭を手で抑えて突っ張り、ブンブン振り回される彼女の腕を躱す。あは、本当にちっちゃい子みたいだ。
「ガキかあんたは」
「ガ キ じ ゃ な い ！」
「ガキだな」
「……」
瑠奈さんが攻撃を止め、灰崎くんの方をじっと見つめる。次の瞬間、回し蹴りが飛んだ。間一髪腕を引っ張って躱させたけれど、風圧が来て吃驚したのは勿論、当たっていたら大変だろうなという感想が出た。
「いや危ねぇよ？！」
「嘗めて掛かるから行けないんだよーだ！」
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年2月3日 21時
