world５３ 厄介な血筋 ページ7
瑠奈side
良かった。スペインだけでなくアメリカも、オリオンを排除できてる。皆も無事みたいだし、本当に良かった。
「だけど問題は──」
「ロシアチームですね？」
「そう、ロシアには要注意だ。君は？」
「野坂悠馬、日本のミッドフィルダーです」
「君が野坂か。日本の戦術面を引っ張っている天才プレイヤー」
「天才は一之瀬さんですよ」
「そ、そうかなあ？ あはは」
「はぁ・・・一之瀬、おだてに乗らない。アメリカは知ってると思うけど、ロシアは全員オリオンの息がかかった選手って噂があるよ。ホントに要注意だ。ボク達も管理されたサッカーなんてやりたくないしね」
横道に逸れて行った話を引き戻して、続けた。オリオン財団のビジネスなんぞに、大切な仲間を利用させられてたまるか。
イナズマジャパンは大丈夫。ボクが絶対に守るから。だから、安心して敵地に突っ込んで行って。絶対、絶対、利用させない。縛るものは排除できてる。
「そのとおりだ！ 俺達は俺達のプレーを正々堂々やる！」
その後また茶番が始まったので、暫く傍観したあと外に出た。外に出ると、音楽が流れてきて踊りながらロシアチームが現れた。
「привет(こんにちは)！ ようこそロシアへ。僕はフロイ・ギリカナン。ロシアチームのキャプテンです。これから剣を交える皆さんに、ご挨拶に参りました」
「相変わらず突飛だね、フロイ」
「ん？ 瑠奈、知り合いなのか？」
「ああ、皆さんご存知《1月の事故》で助けた子だよ。いや〜なんて偶然。おかげでコネが広がった」
一気にざわつくイナズマジャパン。事故を知ってる人も知らない人も、皆オリオン財団とボクの繋がりに驚いているようだ。
「瑠奈！ 後遺症はなさそうだね、良かった！ 突然いなくなるから心配したんだよ！」
「待って身内の視線が痛い」
「お前……ホント何処でも消えてたんだな……」
円堂から呆れたようなこの一言。しかしこの件はボクのせいではない。胡乱気な目を向けないで、やめて。
『連れ去りは不可抗力だってぇぇぇ』
「なんでどこでも面倒ごとに巻き込まれてるんだろう。私にはわからないけど、あ〜ちゃんわかる？」
「俺らそういう血筋じゃん？ それと権力」
「あ〜・・・」
ユズとあげはの会話に少し恐ろしいものを感じながら、フロイを引っ剥がす。うん、君がボクを好きでいてくれるのは理解したから、落ち着いてくれフロイ。
「やっぱり血筋なのかな・・・」
「さぁ？」
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年2月3日 21時
