world８３ 珍しいもの ページ47
瑠奈side
「ゔゔゔゔ〜〜！」
「あは……ご愁傷様です、瑠奈さん」
結局、洗いざらいぜーんぶ吐かされてしまった。皆を巻き込みたくないって散々言ってるのに、揃いも揃ってなんで聞いてくれないんだろう。
「瑠奈は強いから、全部一人でやっちゃうし、潰れることなんてないと思う。でも、しんどいときだってあると思うし、それを隠すのはやめてほしい」
図星を突かれて、言葉が出て来なくなる。嫌になるくらいに本心を突いて来るから、全部見透かされてるみたいで怖いんだ。……素直になれないのも、仕方ないよね。
「……どっちも、勝手に思ってるだけじゃん」
「なんでか僕にだけ当たり強いよね君。そういうとこ可愛くないよ。自分から連絡寄越した試しもないし」
「甘えてるだけですよ。困らせるってことは捨てないって信じてるんでしょうし」
自分に利用価値があることは知ってても、好かれてるとか大事にされてるとか、そういうのに関しては評価がおかしいくらい低くなるので。
びっくりするほど分析されていて、ユズが成長したのかわかりやすくなってしまっているのかちょっと悩む。多分どっちもなんだろうけど。
「……それにしても、よくこんなタイミング良く来れたね。緩んだ雰囲気をバシッと引き締めた」
「そこは鬼道くんの采配だよ。でもそうだね、こういうのは僕が適任だったんじゃないかと思うよ。……もうちょっと早くても良かったんじゃないかとも、思うけどね。結局瑠奈が頼ったのは円堂くんだったし」
「俺でもユズでもなくてなー。脱退届見つけたときは肝が冷えたぞ」
「それに関しては本当にゴメンナサイ」
話を逸らそうとしたのに、結局ボクが叱られる話に戻ってしまった。なんでこんなに怒られるんだろう。今まで怒られなかったしわ寄せかなやっぱり。
元から交流のあったあげははともかく、ユズと照美が仲良くしてくれて安心した。二人とも優しいから、気を遣ってるってことも考えたけど、それにしても和やかだ。緊張なんてないように見える。
「ユズと照美、なんだか仲良しだね」
「ああ、はい。あ〜ちゃんに仲介してもらって何度か……妬いてます？」
「は？ なんで？」
わけわかんない。そう言いそうな顔をしていたんだろう、面白がるようにユズが笑う。あげははあげはで、珍しいものを見たとでも言うように口の端を吊り上げている。
「姉さんが照れてる」
「照れてない！」
何を言っても軽くいなされて、そのまま自然と解散した。
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年2月3日 21時
