world８１ 一人で潰れる前に ページ45
瑠奈side
「お邪魔しまーす」
照美の加入により、部屋割りの都合上あげはがボクと相部屋になることになった。今までユズとあげはが相部屋だったからユズと照美が組まれるのかと思いきや、照美は他の部屋、ユズは一人部屋になった。
それで、今はあげはの荷物を移動させているところだ。本当、なんでこうなったんだろう。不思議。移動する必要ないじゃんね。
「ま、荷物少なくてよかった。すぐ終わったな」
「少な過ぎの部類だと思うけどねぇ」
「逆に姉さんはものが多すぎ」
呆れたように紙の束を持って言われてしまえば、此方はぐうの音も出ない。本当のことだし、何もいえないんだよね。整頓はできないわけじゃないけど、すぐ使うから手元にあったほうが良くて、それでぐちゃぐちゃになっちゃって、片付けるのが面倒に……。
「ユズ、照美兄さん、手伝ってくれてありがと」
「どういたしまして。それじゃあ……本題に入ろうか」
にっこり、照美はいやに綺麗な笑顔を作って、此方に向き直った。何故かゾッとして二人に助けを求めようとしても、共犯らしく首を振るだけだ。
「まず。家族や家庭環境のこと、僕にも話して欲しかったな。君が悩んでるのって大体柚葉さんやあげはくん達と家のことだし、一緒に考える、一緒に頑張るって言ってくれた矢先にこれじゃ信じてもらえてないのかなって不安になるよ。大勢に知られたら知られるだけリスクが大きくなるのはわかってるつもりだよ。それでも、ちょっとくらい話して頼ってくれても良かったんじゃないかな、とは、思うよ」
「だっ」
ベッドに座るボクの隣に腰掛けると、きれいな笑顔を貼り付けたままデコピンしてきた。結構痛い。とっさにおでこを抑えて睨めつければ、二発目が準備されていた。抑えた手の上からもう一発。
「一緒に戦おうって言ってくれた君を信じていたのに……マネージャーになってるなんて、話が違うじゃないか。一緒にフィールドに立てない。楽しみだったんだよ？ 君の事情も体のことも知ってるし、これしかなかったこともわかるけど……って、言ってるそばから透けてるね」
「……ボクだって一緒に走りたかったよ。去年のFF以来、一緒のコートに立ったことなんてないんだから。折角の舞台だったのに、自分でチャンスを潰しちゃったんだ。ちゃんと話そうって思ってたけど、でもやっぱり怖かった」
ごめんね。縋るように照美を抱き締めて、ぐりぐり頭を押し付けた。彼は、ゆっくりと頭を撫でてくれていた。
world８２ もうかなわないな→←world８０ レッツミニゲーム
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年2月3日 21時
