２２話 たとえ夢から醒めようとも ページ28
＊
「わぁ、かわいい〜！」
「木野さんはこれ、音無さんはこっち。冬花さんは……どっちがいいかな」
「ねえ、あざみくん。ちょっと休憩しようよ……」
「そうだよ、どんだけ買うつもりなのさ……」
「もうちょっとでいいから」
冬花の提案で、今日は一日休みだ。なのでみんな、思い思いに過ごしている。海で泳いだり、お土産屋さんで買い物をしたり。
その中で絶対に異色であると言えるグループが、優、薊、瑠奈、そしてマネージャー三人のグループである。
彼らも他の面々とそう変わらず、買い物に勤しんでいるのだが、その買うものが少々特殊だった。
「だってこんな、サッカーの大会会場で、世界各国の生地集めた店なんてあると思わないだろ！？」
「サッカーバカならぬ、裁縫バカ……」
「そこ、うるさい！ あと姉さん動くな長さ測れない！」
「メジャーもなしに検討つけられるあたり、本当」
「「裁縫バカだよねぇ」」
店の店主は顔を輝かせて飛び込んできた少年に丸くし、布を扱う慣れた手付きに零れ落ちそうなほど目を見開いた。
マネージャー三人も、そこは流石年頃の女の子。綺麗な生地の群れに目を輝かせて、にこにこ服のデザインを考えている。
「期待されても興味ないものは興味ないんだって……旅行中もレース編みだのシルクだのって何でも手に取りたがってさ、本当、大変だったんだからね？」
「……あざみくん、誰かを着飾らせることには目がないから……」
「姉さん姉さん！」
「ああ、終わったの……えっ」
「なになになにえっ！？ あざみくん何買ったの！？ 何その手に持ってるきんきらきん！」
「店主さんがくれたんだ、姉さんかんざし集めるの好きだったろ？」
きょとり、瑠奈が不思議そうな顔をする。それに薊が困惑したところで、瑠奈が慌てて声を上げる。
「え、あれ、違った、っけ……」
「ううん！ 好きだよ。ただ高そうだったから、びっくりしただけで……」
「そっ、か、そうだよな！」
篠宮薊は、篠宮瑠奈を姉と慕う。それは、彼女が在りし日の母に似ているからで、瑠奈個人を見ているわけではない。
そもそも普段、彼は肉親のことを忘れている。だけど時々、こうして母親を瑠奈に重ねてしまう。
思い出したときは悲惨だ。母親と妹の最期は、それはそれは悲惨なものだったから。
──「だぁれ？」
手を伸ばされたあの日、篠宮瑠奈は、この哀れで可愛い弟を守ると決めた。
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海道凛(プロフ) - 星猫さん» コメントありがとうございます。ですが、此処は作品の感想を頂くための場ですので、詳しいお話はボードにお越しいただいてからでもよろしいでしょうか。 (2021年9月9日 19時) (
レス) id: 63a783c275 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - タブレットで操作しています!一緒に合作しませんか? (2021年9月9日 15時) (レス) id: 8c51e3f139 (このIDを非表示/違反報告)
海道凛(プロフ) - 星猫さん» はじめまして。よく見ていたアニメはイナズマイレブンシリーズと終わりのセラフです。一時期ちらりと見たアニメなら沢山ありますが、一部しかわからない作品が多いです。あと、此方は作品のコメント欄ですので、感想以外の質問などはボードにいただけると嬉しいです。 (2021年3月28日 19時) (レス) id: 63a783c275 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月27日 11時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海道 凛 | 作成日時：2020年8月7日 18時
