雷門の転校生は天才万能少女 (ページ22)

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２１話　気苦労を返せページ22

円堂side

朝起きたら、Aが居なくなっていた。

何処行った？昨日は一緒に寝て、ずっと寝てて……。

皆で探したけど一向に見つからない。取り合えずスタジアムに向かった。

「何処行ったんだA……」

～＊☆～＊☆～＊☆

スタジアム

『あ、来た来た。待ってたよ～』

呑気に話し掛けてくる。此奴なんで此処に居るんだろう。

俺達の苦労と心配を一瞬で無に返された。見つかったのは良いけど腑に落ちない。

『朝起きたら、彼処に居た。木をつたって此処まで来た』

心を読んだかのような一言。指差す方を見ると、山だ。山しか無い。木をつたって来たって言ってたから……想像できない。

「それで、入れて欲しいんだが？」

『無理。てかスタジアム此方じゃないよ。急遽変更されて、ホラ来た。アレだよ。ね、夏未嬢』

「ええ、本当。今メールが来たわ」

俺達の上に影が差し、巨大な空中スタジアムがやってきた。

『あー……うーん……セーフ？んー……』

なんか凄く嫌そう。何気に舌打ちしなかったか？なんで機嫌悪いんだ？

『あー、面倒だからあっちに送るよ。さーん、にーぃ、いーち、ゼロー。行ってらっしゃい』

機械音がして、Aが淡い水色の光に包まれる。俺達は返事をする間もなく光に包まれた。次の瞬間スタジアムの中に入っていた。

また機械音がした。後ろで。

『さ、行こう。観客も全員移動させたし、問題無いよ』

「「大アリだよ！」」

『大蟻？潰す？それとも放り投げる？』

此奴は思考に問題があった。典型的な常識外れだ。というかどうやった？！

「さっきのってどうy『行こうよー』おう……」

遮られて恨めしげにその背中を見ていると、右目が見えた。

左目の柔らかい金色とは全然違って、右目の右目は鋭く光っている紫色。

「A、お前……」

『えん、どー？どしたの？』

気が付いたら、腕を掴んでいた。皆も不思議そうな目で此方を見ている。

「あ、やっぱ何でもない。気にしないでくれ」

『緊張してるの？まぁわからなくもないけど』

「なにしろFF決勝戦だからな。緊張するのも当然だろう」

「遂に決勝戦かぁ、長かったな」

『ボクは一試合も出れてないんだけどねぇ……ちょちょちょ円堂、腕痛い』

何か言ってたけど前半聞こえなかった。

「え？ああごめん」

無意識の内に力をいれてしまってたらしい。

『落ち着いて。安心しなよ。この試合、絶対にボク達雷門が勝つんだからさ！』

自信満々に告げたAに、俺達は救われたんだ。