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45 別れ道 ページ46

救急車で運ばれてから、緊急手術室へと移動した私は痛みに耐えながら、移り変わっていく景色を眺めていた。

春くんに、会いたい。

こんな時でも、彼に会いたくて、彼の影が何時までも消えなかった。

じわじわと、滲むような冷や汗。想像以上に痛くて耐えられない。拳をきゅっと握りしめていたけれど、指先の感覚が無くなってきたのか、少しずつ無意識に拳から離れていく指先。

力が、入らない。

ピーピーと機械が警告音のように鳴り響く。もう、看護師さんが私の名前を呼ぶ声も医師が焦ったように指示をする荒っぽい声も、全部が雑音に感じた。

「んぅっ……っ、」

声にならない叫びが出そうになっているけれど、声を出すことすらも気力がない。

お母さんも、こんな痛い思いをして私を産んでくれたんだ。自分が母親になる立場にならないと気づけない事ばかりだ。

「Aっ!」

痛みと戦って、どれくらいの時間が経ったのか分からない。けれど、かなりの時間戦い続けて身体も疲弊し切っていた。

そんな中で聞き覚えのある声。騒々しく、緊急手術室に入ってくる彼。ふと、顔を向けると満開の桜のような美しい髪色に似合わないくらい青ざめた彼の顔。

「もう子どもは諦めろ!今からでも遅くねえから!」

どういう事……?春くんの声に疑問を抱きながら、痛みに耐えていると春くんが涙目になっていく。

「お前か、腹ン中の子ども、どっちを助けるか聞かれた。……俺はAを助けたい。だから……っ、」

ああ、そういう事か。力を入れたいのに、力が入らない私の身体の仕組みを理解するのにそう時間は掛からなかった。

私がこの子を産んだら……。でも、私が助かったらこの子が死んじゃうんだ。

常に心配してくれていた春くんの忠告を聞いておけばよかった。あの時、買い物に行かなければこんな事にはならなかったのかな。

今更、そんなこと言っても遅いけど。

私は痛みの中で必死に首を横に振った。1度、この子を堕ろすという形で殺そうとした。新しい命がこの世に生まれ落ちる刹那に、息を吹き込む前に……この子を死なせたくない。

「Aっ!」

きっと後にも先にも残るのは後悔だけ。この子には明るく生きていく未来が待っている。それを、私の命と引き換えに奪って良いものでは無い。

ごめんね、春くん。この子と幸せな未来を紡いで欲しい。

「は、る……くん。」

愛してる。その言葉を伝えられる余裕も無いまま彼に微笑みを向けた。

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設定タグ:東京リベンジャーズ , 三途春千夜 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時

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