帰宅したら家に反社がおりまして。【三途春千夜】

26 もしかしての可能性 ページ27

竜胆さんが言いかけた言葉が気になって、色々考察している中。もしかして……生理不順って言いたかった？それとも、もしかして、妊娠してる？って言いたかった？

でも確かに。妊娠してる可能性も無くはないのだ。

悪阻の程度も人によりけりなんて聞くから、これが悪阻なのかと問われたら分からない。

一応、スマホで調べてみたけれど、当てはまる部分が結構あって、本当に「もしかして」の想定をしてしまう。

春くんに「妊娠したかも。」と言ってみる？

でも、不確かだからもし勘違いだったらぬか喜びをさせてしまうかもしれない。

ていうか、そもそも春くんが喜んでくれるかも分からない。勝手な偏見になってしまうけれど、春くんは子どもがあまり好きそうなイメージはない。

むしろ苦手そう。

ギャーって子どもの泣く声を聞いただけで「うるせえ、喚くんじゃねえ」とか言いそうだし。

もしそれで言わなかったり、子ども好きだったらめちゃくちゃ失礼なイメージをしてしまったのだけれど。

もう少し様子を見て、生理がこなかったら産婦人科に行こう、そうしよう。

そんな事を考えているうちに、マンションに着いていて、玄関の鍵を鞄から取り出し、開ける。

「ただいま。」

扉を開いた先には、相も変わらず雑に脱ぎ捨てられている靴。そろそろ靴を並べるということを覚えて欲しい。

折角ピカピカに磨いてあって綺麗な高い靴なのだから。革も高級っぽいし、物の価値を理解しているのかしていないのか。

「おかえり、A。」

部屋の奥から姿を現す彼。私を出迎えてくれて、部屋に上がると美味しそうな匂いが漂っている。

「いい匂い。」

「今日は飯食えそう？」

「うん、食べたい。」

竜胆さんに会って、話しているうちに体調も落ち着き、その途端に空腹を訴えていた身体。

「私、手洗ってくる。」

洗面台に1人向かい、石鹸で手を洗う。すぐに彼のいる部屋へ移動して互いに向き合って「いただきます」の挨拶を交わす。

食べ終わった後は、私の調子の善し悪しを探る彼。今日はだいぶマシなのが分かると、イチャつきたいモードへと切り替わる。

「今日、一緒に風呂入るか。」

「ん〜、いいよ。」

少し考えて返事をすると、彼の表情を濁らせてしまった。不服なのか？と言いたげな彼の顔。

別に、不服という訳では無いし、嫌だという訳でもない。

……ただ。一緒にお風呂に入ると高確率でそういう雰囲気になる。だから、もしかしての可能性を考えたら少し心配になる。

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