帰宅したら家に反社がおりまして。【三途春千夜】

11 放送禁止用語多発事件 ページ12

ご飯を食べて、お腹いっぱいになった私達は、ソファに並んで呑気にテレビを観ていた。本当に数日間だけど、慌ただしく時間が過ぎていたように感じて、こんなにゆっくりと流れていくような感覚でいられるのが久々な気がした。

「……ゲ。」

横でスマホをチェックしていた彼が、嫌そうな声をあげる。彼に目をやると、うんざりしたような表情を浮かべており、何となく察してしまう。

きっと、蘭さんから連絡があったのだろう。

「蘭さんから？」

「……あぁ。見て見ろよコレ。」

トーク欄を見せてもらうと、確かにげんなりしてしまう。というか……非常に下品な言葉が羅列されていて、溜息を零してしまった。

放送禁止用語ばっかりの文章なんて滅多に見ないから、ある意味レアなのでは？と思ってしまう程には疲れているらしい。

一部を抜粋するとすれば『俺等に内緒でラブホ会してんの〜？♡』だとか『スッコンバッコンお盛んですね♡』とか、とにかく下品。もうこれ以上は読み上げないようにする。

「蘭さんっていつもこんな感じなの？」

「そうだな。……つーか、あんな奴の事名前で呼んでんじゃねえよ。」

あからさまなムスッとした声のトーン。スマホから彼へと再び視線を戻してみれば、拗ねている子どものような表情を浮かべていた。

元々美人顔で、端正な顔だから可愛いという言葉は彼に似合わないかな、と思っていたけれど。こうして拗ねた表情を見てしまうと、凄く可愛らしさが増していた。

「可愛い。」

ポロッと零してから、ハッとして口を噤んだ。すると、拗ねた表情から更にムスッとしたような表情に変われば、彼の本領が発揮されようとしていた。

「可愛くねえわ。腹立った。……今からアンアン鳴かせてやるわ。」

「ちょっと待って、ご飯食べたばっか。」

「は？関係ねえわ。俺を妬かせたらどうなるか思い知らせておいてやるよ。」

妙なスイッチを入れてしまった私を断罪したい。確かに、明日休みだから沢山触れ合いたいとは言ったけど、そうじゃない。

ソファに押し倒されて、組み敷かれた私は彼の顔を見上げ、彼は意地悪そうな笑みを浮かべて私を見降ろしていた。

それがかっこよくて、妖艶に見えてしまうから、何とも言えない。惚れた者の弱みというものなのだろう。

指先が絡み始め、きゅっと繋がれた手。両手と恋人繋ぎしてくる彼が優しいキスを落としてくれる。

でも、背中が少し痛くて思わず、足で彼の身体をつついてしまった。

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