38 沢山の、 ページ39
気怠くて重たい体。まだゆっくりと横になってぐっすりと眠っていたいのに、それを許してはくれない私のスマホの目覚まし。スマホは機械だし、私の設定した通りに動いてくれているからいつもは感謝しながら活用しているのだけれど、今日は休日。
毎日律儀にアラームの慣らしてくれなくても良い。スマホにも休日は休んで欲しい……などまだ頭が完全にすっきりしていないせいで訳のわからない事を巡らせては声に出さずともスマホに文句を投げていた。
「お前のスマホ……いつもうるせぇんだよ。」
隣で眠っていた彼が私のスマホを手に取ってアラームを止めるとポイッと雑にベットに投げ捨てる。壊れたらどうするの……と思いながらも文句は言わずに瞳を閉じたままでいると「聞いてんのか!?」と私の頬を指先で両側摘まむ。
「……申し訳ありません。」
「謝る気ねぇだろ。」
彼のだる絡みには慣れたものの、昨夜彼が好き勝手してくれたおかげで私の身体は悲鳴をあげて泣いていたので、彼の事を相手にしている場合ではなかったのだ。
唇にキスはしないくせに、首筋やら何やらにキスマークを沢山つけられてしまった。そんな自分の身体を見て、こんなふしだらな……と自分に呆れてしまう。もっとガードが堅かったはずなのに。
「なあ、今日……出かけねえ?」
突然そんな事を言われてしまった私はパッと春くんの顔を見てしまう。ニカッと少年のように大きく口を開いて白い歯を見せて笑う彼。こんな事言われるのは初めてだったからとても嬉しくて胸を弾ませてしまう。
でも、正直立ち上がるのが億劫な程身体が怠い。今日はゆっくりと横になってゴロゴロしていたい気分だ。
「沈黙は承諾だって解釈するからな。ほら起きやがれ!!」
私の手をぐいぐいと引っ張って無理やり起こすと満足そうにどや顔をしてみせる。この鬼畜罪深男め……!
「それよりも!!早く下、履いて!!」
「何ぶりっこしてんだよ、もう何回も見てんじゃねぇか!」
「そういう問題じゃないから!デリカシーがなさすぎ!」
昨夜の夢心地もムードも何もかも嘘みたいだ。私の身体を気遣うとか何もないし、自分の事しか考えてないんだから。何で、好きになっちゃったかな。
……なんて答えはもう自分の中でしっかりと出ているくせに自問自答している。
「1時間で支度しろ、絶対。」
「……はい。」
やむを得ず彼の言う通りに支度をする事にした。
1353人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モック - 完結おめでとうございます!物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした! 応援してます! (2022年9月24日 10時) (レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……!これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います! (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした!私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした!これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます!!マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ!!って終わり方でもう兎に角大好きです!!語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました!! (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきな。 | 作成日時:2021年12月12日 0時