12 突然の訪問者 ページ13
「いただきます。」
私が両手を合わせて挨拶をしている時には既に三途さんの口の中へとハッシュドビーフは運ばれていた。
「美味っ……。」
目を見開いてぱぁっと微かに表情が明るくなったような気がした。その後からはもう何も言わずにスプーンですくって黙々と食べている。不味かったら食べるのやめるって言っていたから、不味くはないって事で良いのだろう。
「美味しいですか?」
「……コンビニ飯よりはマシ。」
そう言いながらも手が止まる事もなく食べ進んでいるから、少しは美味しいと思ってくれているという解釈をしても許されるだろう。
「明日も飯作んのか?」
「え、一応そのつもりですけど。」
「じゃあ、俺の分も作っとけ。」
また明日も私の手料理が食べたいって事?相も変わらず命令口調なのはどうかと思うけれど、三途さんにも人間らしさがあって安心した!やっぱり温かいご飯の方が美味しいし、幸せに感じるもんね。
「何ニヤニヤしてんだよ、
無意識に笑みを零していたらしく、笑われたのが恥ずかしかったのだろう。少しばかり頬を赤く染めて怒っていた。
「嫌ですし、過激で物騒な発言控えてもらってもいいですか?」
冷静に言葉を返す私を見て鼻で笑う彼につられて笑みを零す私。
もし……三途春千夜という人物が反社の怖い人じゃなかったら。人の家を人間違いで勝手に放火していなかったら。普通に出会って恋に落ちていたとしたら。
……なんて考えたらダメ。私と彼の関係は歪なもので、互いの利害関係が壊れてしまったら長く続かない脆い関係。そもそも、利害関係すらも生まれてはいない気もする。
笑いあっていた数秒後、チャイムの音が鳴る。三途さんにも友達くらいいるよなぁと思いながら、私は動こうともしない三途さんに「出なくていいんですか?」と問いかける。
「居留守する。」
食べ終わった皿をシンクに置くと、彼はそのままソファに倒れ込む。どうやら本気で居留守をする気らしい。宅配便とかでもなさそうだし、三途さんの家なので私が勝手に出る訳にもいかず。
少し経つと誰かが扉を蹴っているような音が鳴り響いてくる。
「おい開けろ!」
ドスの効いた声で扉越しに怒鳴っている人がいるのはわかった。……彼の仲間だと察した。
「チッ……うるせぇなぁ。」
彼が気怠そうに立ち上がって扉を開けると、背の高い2人の男性が立って不敵な笑みを浮かべている姿が扉の隙間から見えた。
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モック - 完結おめでとうございます!物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした! 応援してます! (2022年9月24日 10時) (レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……!これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います! (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした!私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした!これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます!!マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ!!って終わり方でもう兎に角大好きです!!語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました!! (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2021年12月12日 0時