反社のお兄さんに拾われました【灰谷蘭】

＃１１ ページ11

.












竜胆「お前ガキのくせにそこらの女より断然いい顔してるよな。

売ったらすげぇ額になると思うけど？」








『え‶っ･･･』








蘭「竜胆」








竜胆「悪ィ、冗談」








『クラゲ頭』








竜胆「あ？誰がクラゲ頭だコラ。

襲うぞコラ」








『あぅ、ごめんなさい』








蘭「絶対危害は加えねぇから安心しろよ、A」








『･･･うん、分かっ･･･』











え？今、Aって言った？




私、自己紹介したっけ？


蘭ちゃんの口から確かに「A」って･･･













蘭「花宮A、１６歳。

都内の学校に通ってる、春から高校２年生」









『！』








竜胆「へぇ、その容姿でまだ１６か」








蘭「小さなアパートに両親と３人で暮らしていたが

高１の時に父親の不倫が原因で離婚。


それからは母親と一緒に暮らしていたもののつい昨日、

娘のAが帰宅すると、手紙と現金が置いてあり母親の姿がなかった。

その手紙には「探さないでください」そう書かれていただけ。

現在、母親は行方不明」








『･･･』
















蘭ちゃんはスマホを片手にスラスラと言葉を発した。







プライバシーが保護されてるこの時代に

ありえないくらいに私の個人情報がだだ漏れ。










まぁ、反社ならそんな情報いくらでも手に入れれるのかな。








蘭ちゃんに言われた通り

つい昨日、実の母親に捨てられた花宮Aです。










母親は父親に裏切られたショックから人が変わったようになった。







生活のために水商売をはじめて

家にいつも知らない男を連れ込んでた。







それから次第に私の居場所もなくなってて。





家に帰れない日々が続いた私は

父親が残したお金で漫画喫茶に寝泊まりしたり彼氏の家に泊まったり

ある程度の生活は出来てた。









そして昨日たまたま洋服とかを取りに帰ったら

手紙と少ないお金が置いてあって、とうとう母親にも捨てられたみたい。







でも不思議と涙は出てこなかったんだよね。

いつかこうなるって思ってたから。







何か笑えてきちゃって私これからどうしようって

雨の中傘も差さずにトボトボ歩いてたら

身体がダルくなってあの自動販売機に温もりを求めていた。












.













.















.

＃１２→←＃１０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す