反社のお兄さんに拾われました【灰谷蘭】 (ページ1)

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＃０１ページ1

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〖＃ your side 〗

ある春の日。

朝から降り続いてる雨は、日付が変わった真夜中の今も止む気配がない。

雨に濡れてへばりつく前髪がうっとうしい。

だけど、それを払うのすらしんどくて辛い。

身体が熱くてダルい。

雨にあたって冷えるはずの体温はさっきからどんどん上がっているのを感じる。

繁華街の路地。

灯りを求めて辿り着いた自動販売機の横。

人間って心細いと光を求めるのかな。

それとも温もり？

自動販売機って温かいんだね･･･

どうしよう、このまま寝ちゃいそう。

ま、いっか。

どうでもいいよね、もう･･･

私なんか、どうでも･･･

フッと気付くと雨がやんでいた。

あれ、雨の音はするのになんで？

何となく気になって、頭痛のひどい頭を押さえながら顔を上げた。

「お前、こんなとこで何してんの？」

『･･･温もりが欲しくて』

「あ？」

『あったかいの、ここ』

私の意味不明な言葉を理解したのかしてないのか

話しかけてきたお兄さんは少しの間考えるように黙ってたけど

唐突に私と目線を合わせるようにしゃがんで口を開いた。

「･･･寒ィの？」

『ん･･･たぶん･･･』

「あっためてあげよっか？」

『どうやって？』

この時の私はどうかしてた。

身体のダルさと頭痛、眠気のせいで

完璧に判断力が低下していたと思う。

だから、こんな明らかに危ない人と普通に会話をしてしまっているんだ。

首元にある刺青。

身にまとってる高級そうなスーツに飛び散っている赤い血。

絶対あっち系の危ないことしてる人だって分かる。

てか、顔･･･かっこよすぎでしょ･･･

上手く働かない思考でそんなことを思っていると

お兄さんは傘を片手に持ったままもう片方の腕を私に伸ばしてきて。

「こうやって」と言いながら私の身体に腕を回して抱き締めてきた。

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