甘いお気に入り【藤原樹】 (ページ9)

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＃09 ページ9

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白雪side

『･･･ごめんなさい』

踊場に呼ばれて、私は再び頭を下げる。

さっき、教室で声をかけてくれた男の子とは別の人で

告白を断った後、教室に戻ってる道中にまた声をかけられて。

さっきの人と同様、気持ちに応えられないことにまたまた胸が痛い。

「うん、断られるのは分かってたけどね」

『え？』

「藤原でしょ？」

『･･･？』

「付き合ってるって、本当なんだ」

さっきの男の子にも言われたけど･･･

違うのに。

付き合ってなんかないのに。

『あの、そのことなんだけど、私･･･』

藤原「Aちゃん！」

私の言葉を遮ったのは、藤原くんで。

『え、藤原くん！？』

私の元に駆け寄る藤原くんは

走ってきたのかな。

少し乱れた髪、荒々しい息。

切なそうな表情を読み取った瞬間、

藤原くんが私を抱きしめた。

『っ･･･///！？』

藤原「ちょっと来て」

『へ！？』

今、目の前の男の子と会話の途中なのに！！

有無を言わせず手を引かれる私。

藤原くんは今、どんなことを考えてるの？

踊場を抜けて、渡り廊下にさしかかったところで藤原くんの足が止まった。

『･･･ぷっ･･･！』

止まり切れなかった私は、そのまま背中にぶつかる。

･･･いたい･･･

『な、なに？』

鼻を押さえて藤原くんを見上げる。

藤原「Aちゃん･･･」

私を呼ぶのは弱々しい声。

藤原くんの瞳はゆらゆらと悲しみに揺れていて。

真っ直ぐ私を見つめてる。

どうして･･･

考える間もなく、甘い香りに包まれる。

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