甘いお気に入り【藤原樹】 (ページ3)

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＃03 ページ3

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『殴ったら藤原くんだって怪我しちゃうよ』

藤原「え？」

『だから殴っちゃダメだよ』

ちょっと目を見開いた藤原くんが私を見た。

それだけでなんだか顔が赤くなる。

あぅ･･･

私に言えるのはこれくらいで、悲しいけど説得力なんてまったくない。

藤原「･･･分かったよ」

納得してくれたのか藤原くんは男の子を離した。

え、分かってくれたの？

ちょっと嬉しい･･･

藤原「だけど、」

服から手を離されて、苦しそうにゲホゲホと咳をする男の子を綺麗な瞳が睨みつけた。

藤原「やっぱり許せねぇなぁ」

すごくドスが効いた声に、男の子と私までもがビクリとなった。

「え？」

藤原「お前、Aちゃんに触ったろ」

藤原くんの言葉に男の子がピクリと反応した。

さ、触ったってことを知ってるってことは一体いつから見てたの？

私達のこと･･･

男の子の声は焦っていた。

いつも温厚な藤原くんが怒っているからだ。

「え、藤原･･･？」

藤原「どうなんだよ。あ？」

「･･････」

藤原「おい聞いてんの？」

「･･･触ったよ」

諦めたように、やれやれと手を振って男の子は口を開いた。

触ったなんて言わないでよ。

藤原くんには知られたくなかったのに！

藤原「へぇ。俺の許可なしに？」

「･･･藤原の許可がなんでいるんだよ」

藤原「･･･悪いけど俺、気が短い方」

その言葉と同時に、藤原くんの拳が華麗に目の前を通り過ぎていた。

「う゛っ･･･！！」

衝撃を受けて床に倒れこむ男の子を私は唖然と見ていた。

藤原「ふざけんなよ」

倒れこむ男の子に感情のない声で吐き捨てる。

さっきまでの優しい声と人懐っこい笑顔はどこへやら。

不機嫌オーラ全開の藤原くんなんて、

怖くて見てられないよ･･･

藤原「二度とAちゃんに近づくな」

「っ、わかったよ」

見下している藤原くんに圧倒されたのか

悔しそうに言葉を吐いた。

そのままそそくさと退散していく男の子。

･･･すごい。追い返しちゃった。

藤原「Aちゃん大丈夫？」

いつものように優しい口調に戻った藤原くんが私の所に来た。

背が高い藤原くんは、見上げなきゃいけなくなる。

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