4話目 ページ6
Aside.
彼の病室に通い始めて一週間が経った。それでも彼は身動き一つとらず、ずっと寝ている。
「もう目覚めないかもしれません」
そんな医者の言葉を思い出し、彼の死に怯え彼の手を握る。
彼の手は暖かく、まだ生きているという現実を見せてくれた。
すると、ドアが開いた音がし振り返るとジャンジャンがいた。
「また来てるのか」
『またとは何よ。一応これでも彼女なんだから、これくらい当たり前』
「そうか」
『そうよ』
「変わったことは？」
『特にない』
『あの3人は？』
「ん、あー、多分来ると思うぞ。今日は行く！とか言ってたし」
『へー、全員集まるって珍しいね』
「珍しい…か？一週間前のことだろ」
『珍しいじゃん』
「そうなのか…？」
そうだよ。適当にそう返事をしようとすると、ドアが開き、例の3人が入ってきた。
「よーっす」
あるにあが手を上げて軽く挨拶する。
「ラムザさんは変わりない？」
あるにあの問に私はコクリと頷くとあるにあは「はぁ」とため息をついた。
みんな目が覚めてほしいと思ってる。ラムザさんの事故に無関心そうに見えたタップも結構心配してるみたいで、授業中上の空状態だ。アムすんだって、ジャンジャンだって、あるにあだって。休み時間とかは私含む5人で集まって話したりするけど、何かが欠けていて話していても悲しくなる。
ねぇ、こんな起きてほしいってみんなが思ってるんだよ。ラムザさん。ねぇ、起きてよ。
私は握っていた手を力強く握った。すると、
『えっ…！？』
ラムザさんの指がぴくりと動いた。反応を示した。
『っ、ラムザさん！？ラムザさん起きたの！？』
私は大きな声を出した。するとみんなが驚く。
「え、なに、何があったの？」
「どうした、A」
タップとアムすんが近づいてきた。
『ラムザさんの指が、動いた』
「え！？それはほんとか！？」
ジャンジャンも近寄り、あるにあも嬉しそうな顔をして近寄った。
5人がラムザさんに近寄り、様子を見ていると
「…ぅ、あ……ぁ」
小さく声を漏らした。みんな顔を見合わせる。
タップなんかもう泣きそうな顔をしている。
『ラムザさん！！』
そう言うと、ラムザさんはゆっくりと目を開けた。
私は思わず抱きついた。あるにあは泣きそうになっていて、アムすんとジャンジャンは心の底から喜んでいる様子でタップは泣いていた。
でも、これで終わりではなかった。
そう、ここからが本当の始まり。
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作者名：春奈流奈 | 作成日時：2016年12月17日 13時
