HiGH&LOW〜俺たちが守る〜３

９８.５〜雅貴〜 ページ27

雅貴 「ただいま〜」


お出迎えもなければ、返事すら返ってこねぇ。


雅貴 「お兄ちゃんに、“お帰り〜”は？」


風呂上がりみたいで、タオルを肩に乗っけた広斗とバッタリ。


色気ムンムンさせてんじゃないよ。


鼻をスンッと鳴らすと


俺との距離を縮めてくる広斗に、タジタジ。


雅貴 「何だよ？」


広斗 「Aの匂い…」


ドンッ！


弟に壁ドンされちゃってる俺。


って、何で？


雅貴 「ちょっ、広斗くん！？」


広斗 「会ったのか？」


濡れた前髪の隙間から俺を見据える二つの目。


…Aちゃんの事になるとコレだからなぁ。


雅貴 「たまたま女の子が変な野郎に絡まれてんの助けたら、それがAちゃんだったんだよ。
いやマジで、ビックリしたから。」


広斗 「あ゛？」


バシッ！


勢い良くタオルを床に叩き付けたと思えば


引ったくる様に手にしたバイクの鍵。


広斗 「そのクソ野郎、ぶっ殺す」


低音を発してライダースを引っ掴み、俺の横を通り過ぎ様とする広斗の腕を掴んだ。


雅貴 「待て待て待て！」


広斗 「離せよ」


ガルル…今にも噛み付きそうな広斗。


雅貴 「落ち着けって。
俺がちゃんとシメといたから。」


それに、どこの誰だか分かんないだろ？


広斗 「チッ、」


舌打ちすっと、俺の腕を振り払って引き返す広斗に、ハァッと溜め息。


おもむろに冷蔵庫のドアを開ける広斗。


広斗 「ん。」


ぶっきらぼうに、胸元に押し付けられた水。


雅貴 「お、さんきゅ。」


“有り難う”みたいな？


え、ご褒美くれた感じ？


分かりにくっ！


広斗 「なに笑ってんだよ…」



可愛い弟の不器用さにだよ。

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