HiGH&LOW〜俺たちが守る〜３

８８〜YOU〜 ページ16

「やっぱり慣れない…」


洗面台の鏡に映る、どこか疲れた顔の自分に自嘲する。


━━━━━……




トイレを出た通路の曲がり角、急に現れた人影にぶつかりそうになった。


「っ！…ビックリした…」


相手は…


誠 「Aちゃん、二人で抜け出そうよ」


またニコニコ笑ってる“誠さん”。


「…もう帰るから。」


首を横に振って拒否すると、“そっか、そっか〜”そう言いながらポケットから何かを取り出す男。


誠 「じゃあさ、これ飲んでみない？」


目の前にチラつかせられた小さな黒い袋。


「何…」


ピリッと封が切られた。


ドンッ


「つっ、」


私を壁に押し付け、キョロキョロ辺りを見回す。


誠 「飲んだら、場所変えてイイ事しよ？」


「飲まない。どいて。」


グッとその胸を押し返そうとした両腕を頭上で一纏めにされ、思わず溜め息が漏れる。


誠 「いいからホラ、口開けて」


「イヤ」


誠 「そんなに嫌がんないでさ、絶対気持ち良くなるよ」


舌舐めずりする男に、虫酸が走る。


膝蹴りでいっか…


冷静に考え出した一発を繰り出そうと、キッと睨み付けた瞬間…


グイッ！


視界を遮る様に差し込まれた手が、私たちを引き離した。




？ 「ちょっと、こんなとこでイチャつかないでくれる！？」



「…っ！」



庇う様に私の前に立つ背中に目を見開く。



？ 「女捕まえらんない俺への当て付けかっつぅ…の…」





私の方へゆっくり振り返って、固まる懐かしいその人…









「雅貴さん…」

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