12 それはいつか消えるのに ページ10
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「遅くなった」
「いえ、…ご友人、ですか?それとも達磨の?」
「…」
キセルを口から離した日向さんは片目を強く見開き距離を詰めながら言う。
「見てたのか」
「少しだけ…」
「なら忘れろ。次アイツを見たら目を合わさず静かに部屋にこもってろ」
その言い様に、 初めて。
…はじめてカチンときた。
「………私だって日向さんの為に何かしたいです、少しくらい動かせて下さい」
「この前みてえになりたくねえなら黙ってろ」
「だって、あの時は日向さんが…!」
かたん。
落ちたキセルが畳の上を跳ねる。
ごちん。
額と額が合わさって、日向さんの両手指が私の首や頬を行ったり来たりして、くすぐったくて 小さく肩を揺らす。
日向さんはその会話をしたくないみたいに、ごまかすみたいに。
「二回も言わせんのか」
低く、囁くような声で呟いた。
「…おとなげない」
子供に言われてどうするんですか、って言う前に日向さんはさっとキセルを拾い、私に目配せをして行ってしまった。
何かを隠してる。
…不信感が少しづつ少しづつ、
秋の終わりに降る雪のように積もり始めていた。
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スイ(プロフ) - 主人公の心情の表現など、好きです!大変かとは思いますが、更新お願いします! (2018年6月5日 9時) (レス) id: 2d04120347 (このIDを非表示/違反報告)
理桜(プロフ) - 日向かっこいい!更新楽しみにしてます!! (2017年10月23日 1時) (レス) id: 0dad446c14 (このIDを非表示/違反報告)
スフィンクス(プロフ) - 日向さんまじかっけー!最&高! (2017年9月14日 23時) (レス) id: a701b75e64 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - yuuyuuさん» ありがとうございます!頑張ります〜〜! (2017年9月14日 0時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - 青龍 葵さん» コブラや雨宮兄弟は多いですよね…!どちらも好きなので多いのは嬉しいことです^ ^コメントありがとうございました!のんびり更新ですが楽しみにして頂ければ幸いです。 (2017年9月14日 0時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えく | 作成日時:2017年9月5日 12時