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この後結局日向さんもどこかへ行ってしまって、私は廃寺に一人取り残されていた。
…私がこの間に逃げるかもしれないって事を考えなかったんだろうか。

しかし今の私に逃げる気力などなく、この後どうしようかと考えながら黄昏ているうちに、不思議と眠気が襲って来た。

こんな場所で眠くなるだなんてどうかしている。

きっと、山の奥で涼しいせいだ。

そう自分に言い聞かせて、すっと目を閉じた。











『やめてくだ、日向さん!!!!』

『オイ止めろって!!』


妙な騒がしさに目を覚ました。

冷たい床に寝転んでいた私はゆっくりと体を起こすと、外の方から叫び声と怒声、大きな物音が聞こえて来た。
すっかり目が覚めた私は、あの木の扉から恐る恐る外を覗き込む。


『ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい!!!もう!!あ”、 痛ッ、 ごめん なさい、…!!』

「おい日向!!もういいだろうが!止めろって!」



…ぞわりと背中が毛立つのを感じた。

日向さんが、半笑いで男の人を殴り続けている。


それを後ろから羽交い締めにするように、左京さんが静止しようと試みていた。



それは今まで見て来たどんな光景より恐ろしい。



「日向、さ……」



ふと、私の口があの人の名前を呼んだ。

蚊の泣くような、絞り出したような小さな声。


だというのに日向さんは動きをピタリと止め、ゆっくりと重力に逆らうようにして立ち上がって、踵を返した。


肩で息をしながらこちらへと向かって来る日向さんに、数時間前会話を交わしていた時の面影は存在しない。
どす黒い何かにまとわり付かれているようで、乱れた髪に隠れた瞳はとても好戦的な目つき。



「あーあ、鼻やられてんなこりゃ…」

「こえー。…だから言ったろ、殴り合いの後は声かけんなって」



右京さんと左京さんらの声に気づき、視線を日向さんからそちらの方へと移した時。


力任せに扉が閉じられて、



「呼んだよなァ……….今、俺の事」




ろうそくの炎が、力なく不規則に揺れた。

△→←3 夏の夜だまし



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えく(プロフ) - 綾花さん» はじめまして!ありがとうございます〜^ ^頑張ります!コメントありがとうございました。 (2017年9月4日 0時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
綾花(プロフ) - ここの日向くそかっこよくて大好きです!!更新頑張ってください!!胸キュンさせてください!!^^ (2017年9月2日 10時) (レス) id: a645f6c835 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - こしゅーさん» わ〜〜っ 嬉しいです!マイペース更新ですが楽しみにしていただければ幸いです^ ^ こちらこそ溺愛衝動、よろしくお願いします。コメントありがとうございました! (2017年8月30日 13時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
こしゅー(プロフ) - このお話大好きです!!今一番更新待ってます!ほんとに、日向さんにいちいちやられます… これからも、えくさんのお話、えくさんのファンでいさせてください!! (2017年8月30日 0時) (レス) id: ce268402e9 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - 小麦さん» 本当ですか…!ありがとうございます、とっても嬉しいです^ ^ 改めましてコメントありがとうございました! (2017年8月29日 21時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えく | 作成日時:2017年8月21日 1時

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