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「面倒くせえ説明を聞くのは嫌いなんだよ。
簡潔に、要点だけまとめて全部言え」
「…やっぱり少しだけ時間をください」
「駄目だ。今すぐに言え」
「でも…その、色々ありすぎて、こんがらがってしまいそうで、」
「今知らなきゃ守れねえだろうが…!」
数歩後ろを歩いていた日向さんが私の腕を強く掴む。
突然の出来事に目を丸くして何も言えずにいた。
焦り、苛立ち、無力感。
ああきっと、日向さんの気持ち
今ならわかる気がする。
あんなに乱暴で、何を考えているかわからない人。
この人が、本当に私を守ってくれるんだろうか。
そう信じてもいいんだろうか。
会って間もない、この人を?
「私……」
「言え、全部」
「…、 ………
まちがえてしまったんです、私」
結局その後、考える暇もなく私は全てを話した。
昔、自分の父親は家村会の組員だった。
しかし重要な案件でやらかしてしまったようで、ある日を境に父は家に帰ってこなかった。
兄はやっとの思いで就職先が決まり、私は高校受験を無事に終えた後すぐの出来事だった。
小さい頃離婚をしていた為母親は居らず。
すると自動的に私達は二人で暮らすことになり、家村会は兄と私にあれこれ因縁をつけて小さな仕事を任せるようになった。
しかしムゲンに居た兄は反抗の限りを尽くし、結果引っ越しを繰り返しながら家村会から逃れ続けた。
そして何も起きないまま時が過ぎて、…今に至る。
粗方話し終わった頃には、喉がからからでなんだかひどく体力を使った気でいた。
「生きるのって面倒ですね」
「お前くらいの人生の方が面白えよ」
なんて、日向さんは笑ってみせる。
廃寺に着く頃、辺りはすっかり明るくなっていた。
ぼんやりしながら軋む階段を上ると、日向さんは床に寝転ぶなり私へ言う。
「お前は俺の懐に隠れて寝てればいい」
日向さんが私の手を取った理由は、
切ろうと思えば簡単に切れてしまう糸のような、不安定なものだった。
私は貴方に優しくした覚えはないのに。
どうして貴方は私に優しくできるのでしょうか。
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えく(プロフ) - 綾花さん» はじめまして!ありがとうございます〜^ ^頑張ります!コメントありがとうございました。 (2017年9月4日 0時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
綾花(プロフ) - ここの日向くそかっこよくて大好きです!!更新頑張ってください!!胸キュンさせてください!!^^ (2017年9月2日 10時) (レス) id: a645f6c835 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - こしゅーさん» わ〜〜っ 嬉しいです!マイペース更新ですが楽しみにしていただければ幸いです^ ^ こちらこそ溺愛衝動、よろしくお願いします。コメントありがとうございました! (2017年8月30日 13時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
こしゅー(プロフ) - このお話大好きです!!今一番更新待ってます!ほんとに、日向さんにいちいちやられます… これからも、えくさんのお話、えくさんのファンでいさせてください!! (2017年8月30日 0時) (レス) id: ce268402e9 (このIDを非表示/違反報告)
えく(プロフ) - 小麦さん» 本当ですか…!ありがとうございます、とっても嬉しいです^ ^ 改めましてコメントありがとうございました! (2017年8月29日 21時) (レス) id: 4af89cc856 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えく | 作成日時:2017年8月21日 1時