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身体のベタつきが気持ち悪いのでシャワーを浴び、グッタリとソファに座る。
久し振りの北山との約束。嬉しくてすっかり気を抜いてしまっていた。
あの女性の事はまったく知らない。ドラマに出ていたのかさえも…。
「…北山…。」
2年前、何でも考えすぎてしまう彼を説得してやっと付き合える事になった。
最初の頃はつまらないケンカをしたり、ギクシャクしたり色々あったけど、ここ最近随分落ち着いて、お互い信頼し合って、すごく良い関係になってきていた。
そして俺はこの2年で北山にしか反応しない身体になっていた。
北山でしか感じない。そう言う事できない…。
だからどんなに酔ったり記憶がなくなったりしても他の人と関係を持つ事はないはず…。
「だってたたないもん…。」
はぁ…とため息をついて腰をあげる。
寝室の窓を開け、シーツから何から何まで洗濯機に放り込む。
彼女の痕跡を早く消してしまいたい。
北山の考える事は昔からよくわかった。
この2年付き合ってさらによくわかる様になった。
たぶんもうすぐ…。
〜♪
メッセージを伝える音。
トーク画面を見ると北山から。
“ ゴメン今日行けなくて！”
“ 母親が急に体調崩しちゃって、今実家にいる。”
“ 連絡が遅れてゴメンな！”
…おかあさん出てきちゃったよ…。
やっぱりここには来てない事になってる…。
どうしよう…。
とりあえずここは話しを合わせよう。
“ おかあさん大丈夫？”
“ 俺も昨日飲みすぎちゃって、さっき起きた！”
“ ごめん！”
“ いーよ、お疲れ様！”
“ そーだ、ラインでこんな事悪いんだけど。”
あー…、やっぱり…。
“ オレ達別れよう。”
…はぁ…、とりあえず返そう…。
“ 何⁉ どうしたの⁉ 意味わからない。何かあるなら言って！ 電話しようか？ ”
“ いや、いい。 色々思う事があって前から考えてた。”
“ だからごめん。”
…北山…。
“ 納得できない。明日撮影だよね。終わったら話そう？”
しばらく返信がない…。どうしようか悩んでいるのか？
〜♪
“ 話す事はないから、本当ごめん。”
……。
“ 明日何時になってもいいから、北山の家に行ってもいい？ ”
“ ちゃんと話したい。”
それから何度もメッセージを送ったけど、既読がつく事はなかった。
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作者名：茸 | 作成日時：2018年1月9日 9時
