心・躰 (ページ30)

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K「また二人で、作詞とかしたいね？」

「・・・・・。」

二人で…新しい曲…？

K「あっ、今度は頑張って作曲もしちゃう？」
そう言って、ニヤリと悪戯っぽく笑う。

・・・・・！！

「…っそれいいね？大変だろうけど…楽しそう！」

K「ふふっ…だよね？」

うん…。やってみたい…。できるなら…。
なんだか身体が熱くなってくる。

K「曲作って…。二人で…歌いたい…」

ステージで歌う二人を思い描いているのか、何処か遠くを見つめて独り言の様に呟く北山。

「そうだね…」

そう言って自分も二人が歌う姿に思いを馳せる…。

ステージ上に二人のシルエットが浮かび上がり、スポットライトが二人を照らす…。
会場が悲鳴の様な歓声に包まれて…。
流れ出す音楽に…重なり合う二人の歌声…。

「…楽しみ…」

思わず出た俺の言葉に、スマホを操作していた北山がニコッと微笑む。

「・・・・・。」

そうだ…。このままでいい…。
このままずっと北山の隣にいられるなら…。
誰よりも近くにいられるのなら…。

K「よしっ！！藤ヶ谷！今度マジで考えよう？」

「…うん…」

キラキラしたその笑顔に、また少し胸がザワついてしまう…。

「・・・・・っ」
チクリと痛み出す胸を、慌てて抑える。

だから…その顔は反則だって…。

頭では理解しているはずなのに…。
独り善がりで、我儘で、
未だに北山の全てを諦めきれない自分がいる。

『…そんなに欲張りだと、いつか北山に呆れられて隣にいられなくなっちゃうぞ？
お前にとって、それが一番怖い事だろう？』

そう心の中で呟いて、まだチクチクと痛む胸をなだめる様にそっと撫でた…。

それからは、二人で会えなかった時間を埋める様に話し続けた。
本当に忙しかった時は、LINEも電話もできなかったから、お互い話したい事が沢山あった。

仕事の話や、真面目な話もしたけれど、ほとんどが下らない話で、二人でずっと笑っていた。

途中のサービスエリアで少し休憩して。
ちょっと寒かったから、暖かい飲み物を買って。
北山が気に入って、何度もリピートする曲を勝手にアレンジして二人で歌って。
ウトウトしだした北山に悪戯をして。
信号が変わるのを待つ間には、指を絡めてキスをして…。

久し振りに過ごす、北山と二人だけの時間を楽しんでいたら、ずっと遠くに感じていた海は、もうすぐ目の前だった…。