心・躰 (ページ24)

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渋る北山を上手く丸め込んで、外に連れ出す事に成功した。

『身体痛い！声出ない！』って騒いでいたけど、俺のオススメのバスソルトを入れたお風呂に入って、俺のお気に入りのハチミツを溶かしたホットレモネードを飲んだら、随分楽になったみたいで、いつの間にか機嫌も良くなっていた。

お腹が空いて倒れそう…と言う北山の為にドライブスルーに寄る。
俺はケーキを食べていたから、飲み物だけにしたけど、ずっと何も食べていなかった北山は、あれも、これも、とかなりの量を注文するので、途中で止めておいた。

せっかく美味しい物を食べに行こうって言ってるのに…。

北山と二人で出掛けるのは、いつ振りだろう？
俺の好きな曲が流れる車内。
助手席で、ブランケットを膝にかけ、モグモグと石窯何とかって言うサンドイッチを頬張る北山はまるで小動物。

その姿が余りに可愛いくて…。
思わず、リス…？って言ったら『馬鹿にすんなっ！』って膨れてしまった。

買ってきた物を一気に食べてお腹が満たされたらしい北山は、流れる曲に合わせて鼻唄を歌っている。
俺の大好きな鼻にかかった甘い声…。
ああ…この時を何度夢に見た事か…。

なかなか二人きりで会えなかった数ヶ月…。
寂しくて、寂しくて、気が狂いそうだった…。
やっと会えると思ったらあんな事があって…。
でもやっと…。

運転中だったけど、ブランケットの上に置かれた北山の手をそっと握る。

K「藤ヶ谷…？」

「寂しかった…」

そう言って北山の手を自分の唇に寄せ、優しくチュッと口付ける…。
そして、そのまま手の甲をペロリと舐めれば、

K「…！！お前っ…！！」

驚いて俺の手から自分の手を引き抜き、

K「…運転中！！危ないだろっ！！」

と真っ赤になって俯いてしまう。
可愛い…。
北山って本当に俺好み…。

平日の道は空いていて、渋滞に捕まる事もなく順調に進んで行く。

外の景色を眺めていた北山が、レインボーブリッジからの夜景に歓声を上げる。

キラキラと水面に映る街の灯り、浮かび上がるテレビ局の球体、
遠くにはライトアップされた東京タワー。
色を変えて行く橋…。

その景色をじっと見つめる北山に、

「いつも見てるのに…？」と聞けば

K「今日は特別…。特別綺麗に見える…」

と大きな目をキラキラと輝かせた。