心・躰 (ページ20)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:61,929 hit

K ページ20

F「北山…、きたやま…？」

頭の中に藤ヶ谷の声が響く…。

散々抱かれたその身体は重く、思う様に動けない。
やっとの思いで向きを変え、少しだけ目を開ければ心配そうな藤ヶ谷と目が合った。

F「起きられる？」

優しく聞かれて首を横に振る。
今は無理…。眠くて眠くて仕方ない。
昨日もほとんど寝てないし…。

でも腹はもう限界。
何か食べたいけど外には出られそうにないからデリバリで…。

藤ヶ谷にそう伝えたいけど喘ぎ過ぎたせいか、声も上手く出てこない。

やっぱ無理だ…。もう少し寝かせてもらおう…。

目を閉じて、再び眠りに落ちようとすると、焦った様子の藤ヶ谷に身体を揺すられる。
それから何度も起こされるので、頭から布団を被ろうとすれば、腕を掴まれ藤ヶ谷の胸に抱き寄せられる。

驚いて『藤ヶ谷、何？』と聞こうとしたけど、喉が痛くて、
「…ふ…じ…が…や…？」って、おじいちゃんみたいなカサカサ声しか出せなかった。

その声に藤ヶ谷も驚いたみたいで、目を見開いてこっちを見ている。
もう寝かせてほしくて、また横になろうとしたら、オレの耳元に顔を近づけて、
『ねぇ、北山、海に行こう？』と言ってきた。

誰でも堕ちてしまいそうな低音ボイスで囁かれて、目眩がしたけど…、やっぱり無理…。
(お前のせいで)身体重いし、腰痛い…。

あまり反応を示さないオレに、藤ヶ谷が続ける。

F「海の方に行ってさ、何か美味しい物でも食べない？肉でもいいよ？」

海に行って、美味しい物…？
…もしかしてオレが海に行きたいって言ったから？
ああ、藤ヶ谷って本当に優しい…。

オレの背中をさすりながら、なだめる様に言う。

F「今からならまだ行けるよ？７時には出よう？」

「・・・・・。」

藤ヶ谷の気持ちは嬉しいんだけど…。
お前、明日仕事早いじゃん…？
オレもわりと早目だし…。

考え込んでしまって、なかなか首を縦に振らないオレに藤ヶ谷も黙ってしまった。

諦めてくれたのか？と思った時、藤ヶ谷がポツリと呟いた。

F「北山さ…、俺の物全部片付けちゃったんだね…」

「・・・・・！！」

あっ…やっぱり気がついた？
て言うか、今その話する？！

閉じそうだった目はパチリと開いて、
頭がフル回転し始める。