98 ページ18
・
北斗くん。
びっくりさせてごめんなさい。
それと電話に出れなくてごめんね。
でもいろいろ限界で、
自分でもどうすればいいのかわからなくて。
もう全部言おうと決めました。
わかりにくい文章になるけどごめんね。
はじめて許嫁の話を聞いたのは
中学３年生の卒業間近、高校に入学する少し前だった。
その時ピアノ留学が決まっていたけど
留学は諦めるしかなかった。
留学できないことと、
医者になって病院を継ぐことを
同時に伝えられて、
ピアニストにならないことも悟りました。
でも、私はピアノがないと生きていけなくて
医者になる代わりに、
ピアノを続けることを許可してもらいました。
でもそれも長くは続かなくて、
成績が一度下がった時捨てられました。
それははじめて家出をしたあの日でした。
それから親や祖父への嫌悪感はさらに増した。
続けるために医者になる覚悟をしたのに
それすらも取り上げられて
正直わたしには、もう頑張る理由がなかった。
そんなとき
北斗くんとの距離が徐々に近くなりました。
大学に受かった時、
今までの努力が実って嬉しかったことと同時に、
敷かれたレールを歩くことへの嫌悪感で
複雑な気持ちになった。
将来の夢も結婚も趣味すらも奪われた。
そんな中で医者の勉強を続けるのは正直苦痛だった。
でもそれを頑張れたのは
北斗くんと北斗くんのお母さんがいてくれたから。
勉強していくうちに、婦人科で働きたいって
気持ちが大きくなった。
でも、継ぐ病院には婦人科はないんだよ。
医者になっても医者の道すらすでに決まってる。
それがまたしんどくなって。
はじめてあなたのお祖父ちゃんと喧嘩した。
今、まだその喧嘩は続いてるんだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1679人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
糸山露子(プロフ) - この後どんな風になるの特別編か続編読みたい。 (5月15日 0時) (
レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唯音
| 作成日時：2023年3月27日 16時
